茨城県守谷市の常磐自動車道で10日、男性会社員(24)があおり運転を受け、車を停止させられた上、殴られた事件で、傷害容疑で指名手配された宮崎文夫容疑者(43)が運転していた車は試乗車にもかかわらず、返却期限を無視し、約20日間で約2000キロ乗り回していたことが17日、分かった。

車を貸し出した神奈川県内のドイツ製高級車販売店によると、容疑者は試乗車で神奈川から大阪、福井まで走ったと話していたという。車は傷ついており、店では損害賠償請求を検討している。

    ◇   ◇   ◇

神奈川県のドイツ製高級車販売店関係者によると、宮崎容疑者に車を貸し出したのは7月21日。容疑者の自家用車を整備のために預かり「乗り換えを検討している」と話したため、白のSUVを試乗車として貸し出した。この時は1人で来店。免許証には愛知県の住所が記載されていたが、神奈川県内の住所が書かれた保険証を提示したという。

試乗期間は3日間。同22日に整備開始確認で電話したが、連絡が取れなかった。同25日に容疑者から「仕事で大阪にいる。8月3日に伺う」と連絡があったが、約束の日には来店せず「名古屋にいる」と連絡が来たという。

容疑者は車の所在について「乗り回しているわけではない。大阪の会社の駐車場に止めている」と説明していた。しかし、今月5日、容疑者から「仕事で福井にいる」と電話があり、交通手段を聞くと「借りた車で来ている」と明かした。貸した時から、すでに約1100キロも走っていた。

店には7月25日の段階で、愛知県警から「(SUVが)交通違反を犯している」と連絡があった。今月5日にようやく容疑者と連絡が取れた際、警察から問い合わせがあったと伝えると「身に覚えがない」と驚いていたという。返却を強く求めると、容疑者は「13日午後3時に必ず伺う」と約束した。

11日午後6時半ごろ、「宮崎の代理です」と名乗る男性2人と女性1人が、SUVと別の車の2台で来店。SUVを確認すると、後部ハッチとリアバンパーに傷があった。店関係者は3人に店内で傷について説明してほしいと切り出したが、女性が携帯電話で話し始め、3人とも店に入らず別の車で立ち去ったという。

関係者によると、女性は30~40代でカジュアルな服装。容疑者があおり運転をした際、ガラケーを持った女性が同乗していたが、来店した女性と同一人物かどうかについて「(容疑者と)同乗の女性とは断定できませんが、似ていたかもしれません。携帯電話はガラケーだったと思います」と話した。

SUVの価格は950万円以上。関係者は「修理代だけでも50万~60万円」とし、走行距離も伸びており、店は損害賠償請求を検討している。【近藤由美子】