愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で企画展「表現の不自由展・その後」が中止された問題で、あいちトリエンナーレ2019参加アーティストが10日、都内の日本外国特派員協会で会見を開き、新しいアクション「ReFreedom_Aichi」を始動すると発表した。

「ReFreedom_Aichi」は、企画展の中止及び一部作家の展示中止に関し、参加アーティストたちが協働し、中止後に起きている、さまざまなアクションについて、タグやアイコンを共有して使用することで、アーティストや市民の動きが連帯していることを示すプロジェクトだ。

2人組アートユニット「キュンチョメ」として活動するホンマエリ氏は「ReFreedom_Aichi」活動の一環として、市民に呼びかける統一行動「#YOurFreedom プロジェクト」を始動すると明らかにした。「#YOurFreedom プロジェクト」は、世界中の人々に自らが抑圧された経験を紙に書いてもらい、閉鎖されている展示室の扉に貼っていくもの。現在、あいちトリエンナーレ事務局と実現の可能性について協議中で、今週中に美術館で試験的に実施した上で詳細を決定するという。アーティストと観客の連帯の動きを可視化し、ひとつの「まとまり」として動くことで、あいちトリエンナーレ全ての展示作品の再開と、表現の自由の完全なる回復を生み出すことを目指すプロジェクトだ。

ホンマ氏は「ジェンダー、年齢関係なく、全ての方の不自由が可視化される。皆さんがこうむっている差別に、NOと言うための行動。そのための第1歩として、我々は不自由でいっぱいになって閉じられた扉を、必ず開けないといけない。全ての人とコラボレーションして実現したい」と趣旨を説明した。

またSNSでも「#YOurFreedom」のハッシュタグを使い

「あなたは自由を奪われたと感じたことはありますか? あるいは不自由を強いられていると感じたことはありますか? それはどのようなものでしたか?」

という質問の答えを紙に書き、SNS上に投稿してもらう。ホンマ氏は展開のイメージとして、性被害やセクハラを告発する女性が声を上げた「#MeToo」運動に近いとした。

「あいちトリエンナーレ2019」をめぐる一連の問題は、元従軍慰安婦を象徴した「平和の少女像」が展示されたことに対し、事務局に「ガソリン携行缶を持って(会場の)美術館に行く」などという内容のファクスが届き、8月3日展示を中止したことに端を発した。【村上幸将】