東京オリンピック(五輪)・パラリンピックのマラソン及び競歩の札幌移転をめぐり、8日に行われた東京都の特別委員会で、小池都政を支える知事与党の都民ファースト所属議員から、大会組織委員会森喜朗会長をはじめとする組織委幹部らの参考人招致を要請する発言があった。都が直前まで移転を知らされなかったことに、都民ファは森氏への追求を求めた。

この日の特別委では、札幌移転をめぐる都と国際オリンピック委員会(IOC)のやりとりの詳細も明らかになった。資料として、移転案への説明を求めた多羅尾光睦副知事に宛てた、IOC五輪統括部長職にあるエグゼクティブ・ディレクターのクリストフ・デュビ氏の手紙が提出された。

手紙では札幌移転案について「10月11日の幹部レベルによる組織委員会との協議を経ての決定である」と明記されていることが明らかになった。都担当者から「『幹部』とは森会長と組織委から聞いている」との答弁を受けた都民ファの伊藤ゆう議員は「森会長のワンマン体制と言わざるを得ないのでは。責任問題だ。組織委の体制を見直すべき」と森氏の責任問題を強調。さらに、都議会自民党の高島なおき議員の名前を挙げて「高島議員が都よりも早く(移転案)を聞いていたのでは」と問題視した。

小池氏が組織委の武藤敏郎事務総長から移転案を伝えられたのは同15日とされているが、自民党の川松真一朗議員からは「関係者の議論を軽視するような過去の小池知事の姿勢を見て、都、小池知事に相談することを避けたのでは」と指摘する場面もあった。

小池知事は定例会見で、デュビ氏の手紙について聞かれると「確認してから答えます」と答えるにとどめた。【近藤由美子】