将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(17)が14日、屋敷伸之九段(47)が持つ史上最年少タイトル挑戦記録(17歳10カ月)の更新にあと1勝に迫った。

藤井は大阪市の関西将棋会館で指された第69期王将戦挑戦者決定リーグで前王将の久保利明九段(44)を157手で破り、通算成績を4勝1敗とした。19日のリーグ最終戦で、4勝1敗の同率首位の広瀬章人竜王(32)と挑戦権獲得をかけ、直接対決する。

藤井が大記録へ王手をかけた。久保前王将を相手に、中盤から優勢を築くと、そのまま押し切った。終局後は「序盤から難しかった」と淡々と振り返った。

8大タイトル戦の1つ王将戦七番勝負は例年、1月初旬から中旬に開幕している。藤井が挑戦権を獲得すれば、開幕時は17歳5カ月。屋敷が持つ史上最年少タイトル挑戦記録を30年ぶりに更新することになる。

周囲からの最年少タイトル挑戦を期待する声は気にしないようにしてきた。淡々といつも通り、目の前の一局に集中する。ただ、この日の終局後のコメントは力強かった。「これまであと1勝で挑戦というところまでは来たことがなかったので、うれしい。最終戦に向けてコンディションを整えていきたい」。

大きな自信を得ることができた。順位戦でA級に所属する棋士ですら残留することが難しい過酷な同リーグ戦。藤井は、4勝1敗の堂々の首位タイで最終戦を迎える。タイプの異なる経験豊富なトップ棋士との対戦が17歳を成長させた。「対局を重ねていく中で、新しい発見みたいなものがあった」と振り返った。

広瀬との首位決戦。「序中盤にムダがなく、終盤が非常に鋭いという印象です」と語り、「大事な一局になりますけど、普段通り指すことができればと思います」と平常心を強調した。渡辺明王将(35)への挑戦権を得るまで、あと1勝だ。【松浦隆司】