ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)から、15年4月に性的暴行を受けたとして1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟を起こされ、東京地裁(鈴木昭洋裁判長)から18日に330万円を支払うよう命じられた、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(53)が19日、都内の日本外国特派員協会で会見を開いた。

海外のメディアから、山口氏に対し「逮捕状が発行されたにも関わらず、取り消しになったのは菅さん(義偉官房長官)の力?」と、官邸から何らかの圧力があったのかを問う質問が出た。山口氏は「私が6月8日に成田に着いて、逮捕状が出なかったというが、警視庁の方が任意の捜査に来たのが6月中旬。(自分が)捜査対象だと知らなかったし、対象なら事前に伝わるわけはない。事前に逮捕状が出ることを知らないものに対し、誰かの力を借りることはない」と説明した。

その上で、山口氏は「私は犯罪を犯していません。ですから、捜査が行われていることを知るよしもないから、誰にも頼めなかったという物理的な状況をご理解いただいた上で」と語った。そして「(一連の)報道が出た後は、特に私が誰かに電話をかけたり、メールを送ったりすること自体が誤解を招くということで、私は一切の連絡を絶った。通常の連絡すらしておりませんので、このケースは、どの政治家にも、どの官僚にも一切、頼んでいません。私が、はっきり申し上げられるのは、そのことだけ」と主張した。

その質問を受けて、続いて、一部で山口氏が北村滋内閣情報官にメールを送ったということが報じられた件に関し、真偽を問う質問が出た。山口氏は「北村さんにメールを送ったかどうかすら、私は認める必要がないと思うんですが、メールを送っているのは事実」と語った。その上で「私の父は去年、亡くなったんですが弁護士をしておりまして。父は高齢だったので、法律的なことを父の友人というか知人の北村さんという方に(メールした)。これ以上は、その方にご迷惑がかかるので申し上げませんが、その方は北村滋さんとは全く別人の民間の方です」と否定した。