国立感染症研究所は2日、新型コロナウイルス感染症をめぐり、一部で「検査件数を抑えることで感染者数を少なく見せかけようとしている」などと報道されていることについて、「事実誤認」だとした。

同研究所の脇田隆字所長名で「新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査に関する報道の事実誤認について」と題した声明を公式ホームページに掲載。「一部の報道では、北海道に派遣された職員がPCR検査について『入院を要する肺炎患者に限定すべき』と発言し、『検査をさせないようにしている』との疑念が指摘されています」と報道に言及し、「しかし、積極的疫学調査では、医療機関において感染の疑いがある患者さんへのPCR検査の実施の必要性について言及することは一切ありません」とした。

同職員に聞き取り調査を行ったところ、同職員は「PCR検査確定者の接触者であれば、軽症でも何らかの症状があれば(場合によっては無症状の方であっても)、PCR検査を行うことは必要である」「一方、接触歴が無ければ、PCR検査の優先順位は下がる」と述べただけであることがわかったとした。

同職員の述べた考え方について「感染伝播の状況を把握することを目的とした、積極的疫学調査における一般的な考え方です。しかし、この考え方は、体調を崩して医療機関を受診する患者さんに対するPCR検査についての考え方ではありません。現在の政府の方針、すなわち、『医師が総合的に新型コロナウイルス感染症の疑いありとした患者に関しては検査が可能である』という考え方を否定する趣旨はなく、また、医療機関を受診する患者さんへのPCR検査の実施可否について、積極的疫学調査を担っている本所の職員には、一切、権限はございません」と説明。「よって、本所職員の発言の趣旨が誤った文脈に理解され、事実誤認が広がった可能性があるものと考えます」とした。