大阪府の吉村洋文知事(44)は1日の定例記者会見で、大阪市北区の繁華街で新たなクラスター(小規模な集団感染)が確認されたと発表した。クラスター対策班の調査などで「ショーパブ」で客ら4人、「クラブ」で客や従業員の6人の感染が確認された。クラブなどで飲食をしたとみられる大阪府内外の14人と濃厚接触者4人の少なくとも18人の感染が確認された。夜の街の特殊な事情もあり、クラスターの全容は分かっていない。一方で営業を自粛する飲食店も出てきた。

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これまで大阪府内外で感染経路が不明だった感染者につながりが見えてきた。吉村知事が大阪の夜の街でのクラスター発生について言及した。「1つはショーパブ。もう1つはクラブです。接客を伴う夜のクラブです。一定のクラスターが発生している可能性が非常に高いというのが、大阪のクラスター班の意見です」。

クラスターが確認されたのはショーパブやクラブなど複数の飲食店。ショーパブでは従業員1人と客3人が感染。現在、女性ダンサーらが検査中という。従業員5人、客1人の計6人の感染が確認されたクラブもあるが、感染者は聞き取りに対し虚偽の申告をしたり、「無職です」と答えるなど非協力的で、来店客の連絡先についても「こちらで連絡します」と拒否。それぞれの行動歴の解明が難しいという。

大阪府内の複数のライブハウスでクラスターが発生した際、店名を公表した吉村知事は、今回のケースについて「本来公表すべきだという考えですが、その店の同意がない限り公表することができない。違法になる。ショーパブには同意を求めていますが、クラブについては同意を得られないという状況です」と説明した。店名公表は風評被害が大きいことに理解を示しながらも「さらに隠れたクラスターがあるかもしれない」と危機感を示した。

一方、飲食業界は客足が落ち、売リ上げ8割減、営業休止など、苦しい立場に追い込まれている。大阪市内でバーを経営する男性は「アルコール消毒、換気など、できる限りのことをしている。行政トップが業種を名指しして、夜の街を悪の象徴のように言うのはどうかと思う」と反発する。クラブを経営する50代の女性は感染者が確認されたクラブの対応を念頭に「お客さんにも事情があり、言えないこともある」と理解を示した。【松浦隆司】