安倍政権が、新型コロナウイルス対策として全世帯に布マスク2枚を配る経費が、何と466億円と見積もられていることが9日、分かった。これまでは200億円程度とみられており、実際は2倍以上の費用がかかることになる。国民のマスク不足はいっこうに解消されない中、「アベノマスク」とやゆされる政策が、その額に見合ったものであるのか、議論を呼びそうだ。

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アベノマスクにかかる諸費用の額は、9日開かれた野党会派の会合で明らかになった。政府から総額が示されると、想定外の額に「えー」などと、どよめきが起こった

政府側の説明によると、配布には、公表済みの20年度補正予算案で明示していた233億円に加えて、20年度当初予算の予備費からも233億円を充てる。枚数については、余裕を見込んで1億3000万枚と想定しているという。

マスクの単価は1枚200円程度と受け止められ、事業費も200億円程度とみられていた。しかし立憲民主党の蓮舫参院幹事長に対する政府の説明では、マスクは1枚260円で買い上げ、費用は338億円になる。残りは日本郵政の配送費やパッケージ代などという。

蓮舫氏は自身のツイッターで「マスク生産可能工場への設備投資や支援などに回した方が現実的」と指摘。「まだ間に合う。見直すべき」と、ただしている。

マスクをめぐっては菅義偉官房長官が、この日の会見で「迷言」を展開。配布する1億枚が洗濯によって平均20回使われれば「使い捨てマスク20億枚分の消費を抑えられる」というナゾの試算を披露。野党は緊急経済対策が不十分だとして「そんなことをやっている場合か」と反発している。

アベノマスクは来週以降、東京など感染者の多い地域から配布が始まる。菅氏は会見で、多くの人にマスクをしてもらうことや医療機関などに必要な量を届ける狙いに触れ「代替できる手段はない」と語ったが、果たして…?。