大阪府の吉村洋文知事、大阪市の松井一郎市長が4日、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、市販のうがい薬によるうがいを呼び掛けた。

吉村氏は府内の宿泊療養施設に入所している軽症、無症状患者約40人がイソジンなどポビドンヨード配合の、うがい薬でうがいをしたところ、陽性率の低下が確認されたとした。ただ、低下したのはあくまで唾液検査での陽性率。体内のウイルスに効果があるかは不明だが、この会見後、イソジンなどが店頭から消え、ネット上で高額転売されている。

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大阪府の吉村知事は会見で「薬事法(医薬品医療機器法)で効果がある、とは言えない」と、何度も繰り返しながらもイソジンなど殺菌効果のある、うがい薬に期待を込めた。

吉村氏によると、6月から7月にかけて府内の宿泊施設で療養していた軽症、無症状の患者約40人を対象として、ポビドンヨードが配合された、うがい薬で1日に4回、うがいをしてもらった。うがいをした患者は、4日目に唾液のPCR検査を行ったところ陽性率が約9%となり、これに対し、うがいをしなかった患者の陽性率は約40%だった、とした。

会見に同席した大阪府立病院機構「大阪はびきの医療センター」で次世代創薬創生センター長を務める松山晃文氏は「唾液のウイルスを減らすことで、家庭での身近な人どうしの感染などを減らす効果があるのではないか、と期待している」とした。大阪府では、軽症や無症状の患者を対象に1000人規模の本格的な研究を進め、効果を検証する計画だ。

この会見直後からイソジンなどの、うがい薬を買い求める人が、またたく間に全国に拡散した。イソジンなどのうがい薬はドラッグストアやコンビニの店頭から消えた。午後4時台に東京・杉並区のドラッグストアでは「1家族1本まで」と張り紙がされた、うがい薬があっという間に売り切れていた。「入荷の予定が立たない」というドラッグストアもある。東京・千代田区の衆院議員会館内の薬局も会見直後に「まとめ買いされた」と完売だった。

早くもネット上で「転売ヤー」が横行している。ネット通販ではうがい薬の売り切れが続出し、フリマアプリの「メルカリ」では実勢価格1000円台のうがい薬が6000円と相場の6倍以上の高値で完売していた。吉村知事は「くれぐれも買い占めたりしないでほしい」と訴えたが、イソジンなどのうがい薬は、マスクなどの転売規制の対象外だけに転売は止まりそうもない。【大上悟】