安倍晋三首相の後継を選ぶ自民党総裁選は、党則や総裁公選規程に従い、現状では国会議員と47都道府県連代表3人ずつによる投票で決められる見通しだ。任期は首相の残余任期1年だけで、政権運営次第では「短命」の可能性もある。岸田文雄政調会長(60)、石破茂元幹事長(63)のほか、「令和おじさん」菅義偉官房長官(71)の名前も浮上。「出来レース」か、久しぶりの「ガチンコ総裁選」となるのか。来月15日にも実施される。

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「ポスト安倍」は、年内に次期衆院選が行われた場合に「選挙の顔」にもなる。一方で、任期は首相が残した1年。そんな状況も踏まえつつ動きが始まった。

この日、新潟県を訪れた岸田氏は首相辞意を受けて急きょ帰京。総裁選について「首相の思いを受け止めた上で、国民、国のため努力したい」と述べた。2人は初当選同期で、首相や麻生太郎財務相が「後継」と温めてきたとされる。ただ発信力が弱く、各社世論調査でも支持は低調。前回総裁選に出馬せず「禅譲狙い」と批判されたが、最近はメディア露出を増やし来月15日に著書出版も控える。

一方、前回の総裁選で、無投票回避へ首相と一騎打ちで戦った石破氏は「(立候補に必要な)20人の推薦があれば、やらねばならない」と述べた。「ポスト安倍」の世論調査では1位だが、12年総裁選では地方票で首相を上回りながら、国会議員票で敗北。議員票を固められるかが焦点だ。ただ今回選はれる総裁の任期は首相の残り任期1年。来年の総裁選を見据えているとの見方もある。

毎回20人の推薦人の壁に阻まれてきた野田聖子元総務相は「考えは変わらない」と意欲を表明。稲田朋美元防衛相の名前も上がる。

一方、ダークホース的存在が「令和おじさん」として人気の菅氏だ。今年に入って岸田氏同様、メディア露出が増え「リリーフ登板」へ期待がかかる。二階俊博幹事長との関係も深い。二階氏は石破氏との距離も深めており、二階氏がキーマンになる可能性は高い。 首相の盟友、麻生太郎財務相は出馬せず、麻生派の河野太郎防衛相も不出馬の意向。小泉進次郎環境相は「仲間が支えてくれないとスタートは切れない」と、述べるにとどめた。

総裁選では、党則に「総裁が任期中に欠けた場合」で緊急事態なら党員・党友投票を省略できる規定があるが、地方組織や一般党員が反発する可能性も強い。進次郎氏は「全党員に投票の機会があるのがいちばんいい」と、クギを刺した。

◆今後の主な政治日程

9月15日で調整 自民党総裁選

10月21日 衆院議員任期満了まで1年

10月末以降 臨時国会召集?

11月3日 米大統領選

21年1月 通常国会召集 

7月23日 東京五輪開幕

9月30日 安倍首相の本来の自民党総裁任期満了

10月21日 衆院議員任期満了