漫画家・吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)氏原作の人気漫画「鬼滅の刃」最終23巻が4日、発売された。

初版395万部と破格の発行部数となったが、都内の各書店では午後になっても購入を求めるファンの長い列が出来た。多くの書店が「購入は1人1冊」と条件を付けた上、購入客が繰り返し購入の列に並ばないよう、店頭に「無限ループ禁止」の張り紙を出す店もあった。興行収入(興収)275億円を突破し、公開中の「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」(外崎春雄監督)にちなんだ、粋なお願い文に、客の多くが従っていた。一方で、行列を作る客のコントロール中、過呼吸気味になる女性店員の姿も…。売れても売れても、次々、コミックスを店の奥から出し、店頭に並べる“無限出荷”“無限販売”への疲れものぞかせた。

506円(税込み)の通常版以上に争奪戦になったのが、主人公竈門炭治郎(かまど・たんじろう、声=花江夏樹)、妹禰豆子(ねずこ、声=鬼頭明里)、我妻善逸(あがつま・ぜんいつ、声=下野紘)、嘴平伊之助(はしびら・いのすけ、声=松岡禎丞)のフィギュア4体が同梱された、5720円(税込み)の特装版だ。発売7カ月前の5月上旬から、ネット通販サイトで予約受け付けが始まり、6月中旬には書店予約が締め切られた。一部では11月に予約が再開も、多くの店では予約が終了。アニメの“メッカ”東京・秋葉原のアニメショップでも、多くの店が予約のみで店頭販売はなく、定価を大きく上回る1万2000円などで転売するネットショップも出だしている。

その中、都内の一部書店では、正午を過ぎても特装版が売られていた。店員は「朝から100人以上並び、列が何重にも出来ていました。でも特装版は、まだあります」と笑みを浮かべた。「特装版、ありますか?」と問い合わせる客にも「まだ大丈夫です」と答える定員の声に、通行中の老若男女が購入の可能性を知って並び、列が一気に10メートルほど延びた。店員は「過去にも、特装版を販売した時はありましたが、買ったのは40人ほどでしょうか? 今回は、それ以上の反響です」と笑みを浮かべた。