東京都医師会は12日、新年最初の定例会見を行い、尾崎治夫会長が緊急事態宣言下の医療体制について危機感をあらわにした。「第1波とは比べものにならない。市中に感染者がまん延している。濃厚接触者やクラスターを追跡していく状態ではない。人と人の接触を避けるしかない。強力なメッセージを政府の方に出していただきたい」と、強い口調で訴えた。

この日、都内で新型コロナウイルスの新規感染者は970人と8日ぶりに1000人を下回ったが依然として高止まりが続く。尾崎氏は「新規感染者が1日2000人とかでは、いたちごっこのようなもの」と警鐘を鳴らす。医師会では15病院118床でスタートしたコロナ病床を都と連携して4000床まで増やした。だが、尾崎氏は「3300~3400床が埋まって来ている。ほとんど限界に近い」と瀬戸際にあること示した。

また「昨年7月から、ずっと1000人単位の入院が続いている状況の中で半年以上、コロナ患者を診ている病院の先生、看護師さん、他のスタッフも本当に疲労して、メンタルもやられ、経済的も厳しい」と医療崩壊の危険水域にあることを重ねて説明した。

まったく歯止めがかからない感染拡大に東京都医師会のトップは「感染者を抑えることが、唯一の経済活性化になり、(感染者を抑えなければ)再生もない」と、感染拡大防止と経済の両立という難題に対して悲痛な声をあげた。