都営地下鉄大江戸線の運転士ら東京都交通局職員が新型コロナウイルスに集団感染した原因は、水道のレバーだったことが、14日までに分かった。

交通局担当者によると「保健所からは、共用していた水道が原因ではないかと指摘をいただいた」。江東区の清澄乗務区にある運転士の宿直施設は寝室は個室だが、洗面所や台所、浴室など共用部分も多い。手洗いや歯磨き等で使用する際に唾液などが付着したことによって感染が広がった可能性が高いことから、現在は水回りにキッチンペーパーを設置し、各自が使用前後の除菌や消毒を徹底しているという。

担当者は「感染してしまったことを生かし、やれることは何でもやっていきたい。(他の場所で)同じようなことが起こらないようにもしてほしい」。うがいや手洗いなど感染予防対策の1つと言われていた行為が、感染経路につながってしまった盲点。都の各局などにも状況を報告し、同様の対策を講じているという。

交通局では先月15日に最初の感染者が判明して以降、年末までに38人が感染。そのうち37人が運転士で濃厚接触者もいたため、大江戸線は昨年12月27日から1月11日まで、通勤ラッシュ時を除いて運行本数を約7割程度に減少せざるを得なかった。その後、ほとんどの運転士が職場復帰し、大江戸線は12日からは平常運行になっている。

PCR検査の実施に加えて、うがいや手洗い、マスク着用、休憩室の消毒強化やアクリル板の設置など、予防策も再徹底している。担当者は「センサー式の蛇口への変更も検討しています」。11都府県に拡大している緊急事態宣言再発令の中、感染理由の周知も、感染拡大抑制策の1つだ。【鎌田直秀】