花咲徳栄が埼玉県勢として初めて夏の甲子園を制覇した2017年の主将で、大学中退直後の19年4月に強盗致傷事件を起こした千丸剛(ちまる・つよし)被告(21)に対する裁判員裁判の判決公判が4日、千葉地裁(坂田威一郎裁判長)で開かれ、懲役5年の実刑(求刑懲役6年)が言い渡された。

千丸被告は強盗致傷事件前に仲間が起こしたナンバープレートの窃盗について関与を否定。強盗致傷事件についても犯行直前まで知らず「逃げたら殺されると思った」と主張していたが、坂田裁判長は窃盗について「犯行時において窃盗の共謀が認められ、共同正犯が成立する」と判断。強盗致傷についても「背後に暴力団関係者がいるという恐怖は心情的に理解できないわけではないが、ナイフと粘着テープを持ち、被害者を緊縛する役割を果たしており、重い犯行を正当化するものではない」と退けた。

被害者に対し500万円の被害弁償をしたことや、花咲徳栄の岩井隆監督によって大阪の不動産業者への就職が内定し、社会復帰後の環境が整っていることなどは考慮されたが、「自己の関与を過少に捉えるなど、反省は十分とはいえない」として、弁護側が求めた執行猶予は認めなかった。マスク姿の千丸被告は正面を向いて判決理由に耳を傾け、表情を変えることはなかった。

共犯で主導的役割を果たした吉添勇人被告(23)は懲役8年6月(求刑懲役11年)。他の2被告には懲役5年6月、懲役6年(求刑はいずれも懲役7年)が言い渡された。