元総務相で経済学者、パソナグループ会長の竹中平蔵氏(70)が6日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会」に出演し、東京五輪・パラ開催を巡り、政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長が2日の衆議院厚生労働委員会で「今の状況で(五輪を)やるというのは、普通はないわけですよね、このパンデミックで」と警鐘を鳴らしたことについて「明らかに越権」と批判した。

竹中氏は「こないだの座長の発言なんかひどいじゃないですか。だって分科会がオリンピックのことを決めるわけじゃないのに、明らかに越権でね。本当にエビデンスがないと私も思いますけど、人流を止めればいいんだとか、なってるでしょ。しかし、人流を止めてロックダウンした国でも抑えられなかったんですよ」とし、新型コロナウイルスの第3波の感染拡大を抑えるために尾身氏らが力説した「人流」に否定的な見解を示した。

さらに20日が期限となっている緊急事態宣言の3度目の延長について、ワクチン接種が一気に加速しているため、延長はないとの考えを示した上で「分科会がまた変なことを言う可能性がある。社会的になんか専門家だと思われてるから、それ(分科会)に対して菅総理が反対する決断をするのが政治的に難しくなる可能性がある」とした。

尾身氏の一連の発言に対して「専門家として、個人で言うのはいいんです。しかし、国会で(分科会の)座長として言ってるんですから、あれは明らかに、矩(のり)を踰(こ)えてますよ」と批判した。

また五輪開催の賛否の議論自体について「私にはよく分からない」と強調し、「オリンピックは世界のイベント。世界のイベントをたまたま日本でやることになっているのであって、日本の国内事情で、世界のイベントをやめますというのは、あってはいけないと思います。世界に対して、『やる』と言った限りはやる責任がある」と持論を展開した。