百貨店業界は正月商戦に早くも突入だ。東京・銀座「松屋銀座」では1日、2022年の「おせち料理」内覧会が行われた。昨年のおせち商戦は、一昨年比約140%もの売り上げを記録。コロナ禍で外食、旅行を控えた反動の「巣ごもり需要」で好調だった。今年の商戦でも同じ傾向があるとみている。「せめてお正月ぐらい豪華に」という消費者心をくすぐる高額おせちを軸に、新たな需要の掘り起こしを図る。

昨年より6点多い203点の商品の中で注目は初登場、1個40万円、10個限定のイタリアンおせち「銀座ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン」だろう。「松屋だけでなく、他店でもこんな高額のおせちは聞いたことがない」と関係者が驚くほど。50年物のバルサミコを白トリュフにかけたり、キャビアやオマール海老、タラバガニなどが入った豪華版だ。

「高額おせちの強化の象徴であり、コロナ禍の松屋のチャレンジです」と柏木雄一営業一部長(44)は言う。ブルガリのチョコ店舗が松屋銀座に入っているうえ、同じ銀座の「隣のよしみ」から声を掛け、話を進めたという。

これまでは、「日本料理 なだ万」の1個22万円が松屋の最高額だった。「昨年の売れ行きを見ていると、単価の高いおせちから動き始め、高額商品の売り切れも続出した。特にホテルやレストラン、有名シェフ監修のおせちなどが人気だった。コロナ禍の生活様式が変わらない今年も、同じ傾向になる」と同社では判断した。ほかにも取り分けの必要がない個食重視の一段重、お菓子のおせちなど、時代を反映して商品は多様化している。

昨年の平均単価は2万4432円。今年も2万~3万円台が中心価格帯とみる。インターネットで予約を受ける10月1日(店頭販売開始は同月13日)から12月25日までの売り上げ目標は、約1億円(20年比105%)を見込んでいる。