84歳で死去したさいとう・たかをさんの代表作「ゴルゴ13」は国際政治の舞台も数多く描かれており、永田町の政治家にもファンが多い。筆頭は、76年モントリオール五輪クレー射撃のオリンピアンの麻生太郎財務相だ。マンガ好きでも知られる麻生氏は今年7月、ゴルゴ13の単行本が201巻が発売され、ギネス記録に認定されていた「こちら亀有公園前派出所」の全200巻を超えた際、閣議後会見で財務大臣として「大したものだ。あれだけインターナショナルな小説を日本で読んだことがない」と絶賛した。ゴルゴ13では、麻生氏によく似た財務大臣も作中で描かれている。

総裁選で新総裁になった岸田文雄前政調会長は外相時代の17年、「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」を作り、公開している。マンガの中に登場する外相は「高倉」と名乗り、眼鏡はしていないが岸田氏に似ている。

総裁選で岸田氏に惜敗した河野太郎行革相は、ゴルゴ13と動画でもコラボした政治家となった。18年、外相時代に、海外安全対策マニュアル動画を作り、公開。動画で登場する外相は「高倉」だが、顔は当時外相だった河野氏そのまま。この外相が、ゴルゴ13に語りかける形で、国外でテロの標的にされている日本人向けの安全対策をPRするものだった。さらに、今年7月には、新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターで「Kからの依頼」と題するマンガのパネルが公開された。ゴルゴ13がワクチンを受けている場面が描かれており、ワクチン接種拡大にも「一肌脱いだ」形でゴルゴ13が貢献していた。依頼した「K」はワクチン担当の河野氏とみられるが、河野氏は「うかつなことを口走ると消されちゃいます」と、ゴルゴ13の作品中の「ルール」に従い、笑顔で答えるなど、ゴルゴ愛を見せていた。