選挙戦も残り9日となった22日、野党共闘を巡ってドタバタ劇の東京8区で、れいわ新撰組の山本太郎代表が初めて街頭演説を行った。最終的に野党統一候補となった立憲民主党の吉田晴美氏をゲストに招いて「手打ち式」を催した。

山本氏は11回目の当選を目指す難敵の自民党石原伸晃元幹事長の消費税政策を批判し、「吉田晴美ならば消費税は5%に減税。石原家のご子息ならば消費税15%。東京8区にお住まいの方には吉田晴美、この人しかいませんよ。必ず選挙区で勝たせてください」と連呼した。グータッチで壇上に招かれた吉田氏も「野党統一候補として、戦わせていただくことの責任の重みと感謝の気持ちで一杯です」と頭を下げた。

山本氏は8日、同区からの出馬表明したが、立民などと最終合意に至っていなかった。前回2017年の衆院選で初挑戦ながら石原氏相手に約2万3000票差と善戦した吉田陣営は出馬準備を進めており、支持者からの猛反発を受けた山本氏は4日後に小選挙区からの出馬を撤回し、比例代表東京ブロックからの出馬を決定した。

ドタバタ劇は一応の決着となったが両陣営には、しこりが残った。両氏のそろい踏みを水面下で調整したが、選挙戦4日目まで、ずれ込んだ。山本氏は「吉田さん、支援者のみなさんにご迷惑かけたので」とわびたが、「吉田さん支持層が比例で全面的にれいわに流れるかは微妙」(関係者)する指摘もある。

前回衆院選の同区で立民と共産党候補の得票を合計すると石原氏に約1100票差まで迫る計算で、れいわ支持票も加わる。野党共闘に危機感を示す石原氏はJR高円寺駅前などの拠点で街頭演説を行い、外交・安全保障政策などで持論を訴えた。日本維新の会の新人候補笠谷圭司氏も波乱を狙う。「必ず国会に行きます」と決意を示した吉田氏に、山本氏は「衆議院でお会いしましょう」と応じた。「永田町の空気を読まない。あなたにとってのミサイル山本太郎を国会に着弾させてください」と怪気炎を挙げたが、激戦区で野党共闘の微妙な空気は、どこまで一本化されるだろうか。【大上悟】