アベノマスク約53万枚は行方知れずのまま。後藤茂之厚労相は28日の参院決算委員会で「調達枚数から配布枚数を差し引いた計算上の在庫枚数よりも実際の在庫枚数が約53万枚少ない」と改めて認めた上で「原因を特定することは困難」と明言した。

行方不明の理由として「毎日、全国の作業拠点で並行して大量のマスクの納入、梱包(こんぽう)、配送作業を行っていた過程で配送枚数の集計のズレなどにより生じたものではないかと推測する」と釈明したものの、立憲民主党の杉尾秀哉氏から「これはズレなんていうレベルじゃない」と批判を浴びた。

厚労省は安倍晋三元首相が新型コロナウイルス対策として調達した布製マスク(アベノマスク)約2億8741万枚の内、昨年3月末までに約2億415万枚を配布と公表した。行方が分からない約53万枚について後藤厚労相は18日の参院予算委員会でも陳謝した。

残る在庫約8000万枚については、岸田文雄首相が希望者に配布して残りは廃棄すると表明し、約2億8000枚分の申請を受け付けた。厚労省のホームページには3月上旬から配布開始となっているが、後藤厚労相は「同一人から複数申し出が寄せられたケースなど確認のため、作業の整理をしており、現段階で配送件数は確定していない」と、配送がスタートしていないことを明らかにした。

在庫の約8000万枚の配送費は約10億円で、焼却処分した場合は約6000万円と試算されている。後藤厚労相は「厚労省として10億円と、申し上げていない。どのように配送するかということが分からない状況の下で配送費用は分からない」とした。