EXILEのフィジカルトレーナー、吉田輝幸氏が正しい体の使い方を伝授する「EXILEエクササイズ」。第28回は「本格的な運動を始めるその前に…」です。

 何日にもわたって何時間も激しいダンスパフォーマンスを繰り広げるEXILEのステージ。プロのパフォーマーの彼らでさえ、疲労の蓄積する部位・場所はメンバーによって異なる。

 吉田氏

 同じ体力があったとしても、股だったり、ふくらはぎだったりします。EXILEの皆さんは全体的に筋肉質な感じがあるでしょ。確かに筋力の強さはあるけど、体の部位によっては上手に使い切れていないメンバーもいる。同じ体力で、しかもハードなトレーニングをしているのなら、それを生かせる体にした方が効率的だし、けがもしない。疲労の蓄積の仕方も変わってきます。ひと昔前は「疲れる=弱い」とされた。だから鍛えなきゃ!

 でした。でも、痛みの原因は周囲の関節の使い方が悪いからかもしれないんです。

 膝の痛みを訴える高齢者らが、整骨院で膝に電気を当てて治療を行う。これはよく見る光景だ。

 吉田氏

 それで痛みが取れるのなら良いんです。でも、もしかしたら、膝痛の原因は膝でなくて、股関節の硬さだったり、膝周囲の別の部分の筋力の弱さだったりする。一時的には痛みが取れても、“痛みのもと”が改善されないと、また痛みが出てしまう。その繰り返し。それは年配の方から子供、トップアスリートまですべて共通です。

 健康志向の世相を反映して、フィットネスクラブ全盛の時代だ。だが、そこにも注意を呼びかける。

 吉田氏

 基本メニューは一通りやったとします。その先です。筋力をさらに付けた方がよいのか。あるいは、体の使えていない部分の柔軟性を高めた方がよいのか。課題は人それぞれです。運動する目的や目標があるからトレーニングを始めるでしょ。でも、何をやったら良いかの「課題」が明確でないと、思い通りにならなくて途中で挫折してしまう。それを僕はなくしたい。そのためにも体の正しい使い方が大切なんです。

 第28回おわり。【取材・構成=松本久】

 ◆PCPトレーニング

 体幹(コア)を最大限に活用した最新のファンクショナル(機能)トレーニング。ただ単に筋力を向上させるだけではなく、正しい体の使い方を基に「動き」を鍛え、障害を予防しながら確実にパフォーマンスを向上していく。