気温0度の宮ケ瀬から梅の咲きほころぶ熱海へ。でんめおやじことメディア戦略本部石井政己(57)が、2月7日に行われたヴェロ・クラブ・ランドヌール青葉主催のBRM207熱海200に参加。東京・稲城を出発し、尾根幹から宮ケ瀬へ向かい、半原方面から上って土山峠を下った後、国道1号線を小田原、湯河原、熱海と走り、最後は梅園までの急坂を上って折り返す、熱海往復の200キロの今年初ブルベを楽しんできた。ほぼ平たんなコースで、最大の難関は熱海梅園までの急坂とにらんでいたが、思わぬ天候で序盤に早くも危機が訪れた。


折り返し地点の熱海梅園
折り返し地点の熱海梅園

 前日の天気予報によると、日中は晴れ。だが、未明の午前2時ごろから雪が降ることになっていた。当日の午前3時半に起きて外を見てみると、自宅周辺の道は濡れていたが白いものはなかった。天候を見込んで泥よけも前日のうちにつけていたし、準備は万端。午前4時半ごろに出発した。


 本来なら大和市内の自宅から稲城までの25キロほどはいつも自走で行くのだが、あまりの寒さのため、この日は早々と車で輪行することに決めていた。ちょっと軟弱だが、年も年だから許すように。


 スタート地点の稲城・犬丸公園に到着したのが午前5時半過ぎ。すでにブリーフィングが始まっており「路面凍結に注意。シークレットは宮ケ瀬を下る途中の道の駅」という担当者の声が聞こえてきた。「あれ、シークレット言っちゃうんだ」と思ったが、下りの途中じゃ知らないと止まれない。


 ブルベカードを記入しているとすでに車検が始まっており、息つく暇もなく、日も昇らぬ午前6時に発進。連光寺坂は幸いにして誰にも抜かれず上ることができた(^_^; 連光寺坂上まで上りきると、周辺は前夜の雪がうっすらと残っていた。路面には残っていないが、雪が解けてかなりスリッピー。慎重にブレーキングしながら下る。尾根幹に出ても周辺は雪化粧。「宮ケ瀬上りたくないな」なんて声が信号ストップで聞こえてくる。確かにねぇ。


 尾根幹の中盤で足の合うトレインにくっつくことができ快調に走っていたが、高田橋の先の急坂、そして半原手前の馬渡大坂からは一気に抜かれ始める。まあ、いつものことですな。坂がもうちょっと人並みに上れたら、観光とかグルメとか楽しめる時間が作れるのだが…。


 この宮ケ瀬に向かう坂を上っている時、下ってくる車を見て驚いた。屋根に雪を積んだままなのだ。えっ、もしかして上は雪国なのか。上っても下りられないぞ。その不安は最後に宮ケ瀬に上る10%の坂へたどり着いた時に一層大きくなった。


宮ケ瀬へ向かって上る10%の急坂。法面は雪化粧。路面も凍結
宮ケ瀬へ向かって上る10%の急坂。法面は雪化粧。路面も凍結

 北斜面となる道の路肩は完全に凍結している。車の轍部分は走れそうだが、それでも気を抜けば転倒しそうだ。前方を見ると、危険を感じて歩き出しているブルベライダーもいる。前夜の雪でこのコースのハードルが一気に高まり、コケないで宮ケ瀬を通過することがこのブルベ最大のテーマとなった。


 自転車を下りて写真を撮るだけでも、クリート部分がツルツル滑る。いったんは歩こうとしたが乗った方がましかなと思い直し、行けるところまでと車道の真ん中まで出て走り始めた。前方を2人のライダーがやはり乗ったまま上っており、彼らが自転車から降りたらこちらも降りることにして、ついていくことにした。後方の女性は途中から歩き出したが、これは仕方ないところだ。


 ブルベじゃないとこんな雪の宮ケ瀬なんて来るわけがない。これもいい経験か。「ワンダーランド!」。降りて雪景色を撮っていたら、外国人ライダーがストップして歓声を上げていた。あれ? 彼には尾根幹で抜かれ、抜き返した覚えはないのだが、ま、いいか。


 亀の歩みで何とか上りきる。トンネルを抜けると雪国…ではなく、トンネルの手前から雪国だった。銀世界に囲まれ写真ストップも多くなる。やまびこ大橋の気温表示は0度。確か相模川沿いも0度だった気がするが、上ってきたおかげで寒さはまったく感じない。


雪化粧した宮ケ瀬湖。欄干には雪が積もっていた
雪化粧した宮ケ瀬湖。欄干には雪が積もっていた

宮ケ瀬湖畔の道
宮ケ瀬湖畔の道

宮ケ瀬湖のやまびこ大橋。気温は0度だった
宮ケ瀬湖のやまびこ大橋。気温は0度だった

 土山峠からの下りはいつもなら最高のダウンヒル。しかし、この日はドキドキのダウンヒル。慎重にブレーキングしながら、前を行く、写真を撮っている間に抜かれた女性ライダーについて下って行く。だが、こちらは南斜面のため徐々に路面は乾いてきていた。そのせいか、びゅーんと何人かのブルベライダーに豪快に抜かれた。


 何とか無事にシークレットポイントの清川村の道の駅に到着。通過チェックをしてもらうと、すぐさま自転車に乗ってリスタート。上りで抜かれた休憩中のブルベライダーをごぼう抜きだ(^o^)


 ここから先の路面はもう普通の状態。トレインにくっつたり、独走したりしながら県道63号線、国道1号線を走って熱海を目指す。


 小田原から先は海沿いの国道135号線。日差しもあっていい気分。しかし、熱海手前の伊豆山の上りでまたしても多くのライダーにパスされる。


 伊豆山から下っている時に、折り返してきたトップのブルベライダーとすれ違った。1時間ぐらいの差があるだろうか。


 下りきったお宮の松で写真を撮ろうとしたが、外国人観光客が一気に押し寄せてきたため諦めた。その先の海岸沿いの親水公園の桜は見ごろはまだ先の様子だった。


 中央町の交差点を左折すると、いよいよ熱海梅園への上りが始まる。9%、9%と続く激坂だ。ここの最大のポイントはT字の交差点「福道町」の信号を足をつかないで曲がること。足をついてしまうと、たぶん漕げ出せない。ダンシングでゆっくりと上りながら間合いをはかる。後ろにブルベライダーが1人ついたようだが、さすがに抜いてはこない。梅見のシーズンとあって車が後方から次々とやってきているのだ。


 もう少しで交差点というところで信号が赤に変わった。やべ。歩くより遅いスピードでゆっくりと上り、青に変わった瞬間に踏み込んで左へ曲がる急坂をクリアする。セーフ。コケないでここまでこれた。


 来宮駅前はやや平たんとなり、梅園前付近から再び9%が始まる。福道町交差点から折り返しのミニストップ熱海梅園店まではたった1・3キロなのだが、急坂が延々と続くせいか、果てしなく遠く感じた。


 ダンシングで上り続け、104キロ地点の折り返しに到着したのは午前11時11分。出発から5時間11分なのでまずまずのペースか。


 熱海梅園は大勢の人が観光に訪れており、駐車場は満車の状態だった。自転車で来ているのはもちろん反射ベストを着たブルベライダーだけだ(^_^; 中は入っている余裕はないので外から写真を撮り、稲城への復路へ発進する。


熱海梅園。日曜日とあって多くの観光客が訪れていた
熱海梅園。日曜日とあって多くの観光客が訪れていた

熱海梅園。入れないので遠景
熱海梅園。入れないので遠景

熱海駅周辺の桜はまだの様子
熱海駅周辺の桜はまだの様子

 復路は真鶴旧道を上り、真っ青な水平線を見ながらダウンヒル。天候は晴れたり曇ったりだったが、ここを走っている時はお日様が顔を出しており、気持ちが良かった。しかし、日中の気温は5度とあまり上がらなかったようだ。


真鶴旧道から水平線を臨む
真鶴旧道から水平線を臨む

 伊勢原までは順調に走ってこれたが、相模原、町田に入ると信号地獄。最後の尾根幹のアップダウンも足にきたが、前を行くブルベライダーに引いてもらう形となり、女性を含めた3人のトレインでフィニッシュ。時間は10時間24分だった。このコースだと10時間は切りたいところだが、路面凍結もあってスローダウンしたので仕方ないか。無事に完走できたことをよしとしよう。【メディア戦略本部 石井政己】


 
 

◆コース 東京・稲城、犬丸公園〜連光寺坂〜尾根幹〜高田橋〜馬渡大坂〜宮ケ瀬〜(シークレット・ポイント 清川村道の駅)〜伊勢原〜大磯〜小田原〜湯河原〜熱海梅園〜(PC1 ミニストップ熱海梅園店)〜熱海〜小田原〜真鶴旧道〜小田原〜大磯〜(PC2 伊勢原三ノ宮店)〜伊勢原〜相模原〜尾根幹〜犬丸公園

◆距離 201・4キロ

◆時間 10時間24分

◆グロス平均速度 時速19キロ

◆獲得標高 2558メートル