関東周辺のサイクリストにとって神奈川・三浦半島1周は定番コースのひとつだが、現在、三浦半島観光連絡協議会主催で「三浦半島サイクルスタンプラリー」というイベントが行われている。浦半島内8カ所の景勝地に設置したマイルストーンを自転車で巡りながら、スマートフォンを利用してスタンプを集めるもので、スタンプの達成度に合わせ三浦半島ならではの景品などがゲットできる。今回は17年11月3日から18年3月4日まで開催。そこで1月中旬の晴れてはいるが風が吹き荒れた日にチャレンジしてきたのだが、8カ所のうち2カ所が超難問。泣きが入ったライドとなった。

 三浦半島観光連絡協議会の公式ホームページ「LAUMI」の中のサイクリングページ(http://www.laumi.jp/cycling/)にマイルストーンの位置などの詳細があるので、これを参考にして走ることになる。特にどこから回ってもいいし、1日で回りきれなくても構わないらしい。

 半島を走る時は時計回り、つまり海に近い方を走るのが基本なので横須賀へまず向かう。スタート地点は特に指定されていないのだが、いつものように横須賀駅のスカレー君に挨拶。ヴェルニー公園付近を勝手にスタート地点とした。あとで各マイルストーンに刻んである地図を見ると、やはりこのあたりからコースが始まっていたようだ。

JR横須賀駅前のスカレー君
JR横須賀駅前のスカレー君

 気持ちのいい馬堀海岸を抜け、国道16号起点の走水から観音崎へ。神奈川県央の自宅からは追い風の恩恵を受けてきたが、観音崎を過ぎたあたりからは向かい風となった。

 トンネルを抜け、下りきった先の観音崎自然博物館の先に「たたら浜のマイルストーン<黒船>」がある。ここは地図からも見当がついており、ひと目で分かった。由来は嘉永6年(1853年)に浦賀沖に来航したペリー提督率いる「黒船」。またHPによると、昭和29年に初代ゴジラがこの浜辺に上陸したことで知られ、その足跡がマイルストーン近くに残されているとあるのだが、この時は発見できなかった。

たたら浜のマイルストーン<黒船>
たたら浜のマイルストーン<黒船>

 浦賀をぐるりと回り、開国橋からペリー公園、浦賀の渡し、東京湾フェリー久里浜港と過ぎ、野比海岸へ向かう。しかし、三浦半島1周で最も快適な野比への下りは強烈な向かい風で押し戻されそうな状態。平たんな海岸線もほとんどヒルクライム状態で時速20キロ以下。なかなか前に進めない。

 次の「北下浦海岸通りのマイルストーン<水仙>」は野比海岸から国道134号へ向かって右手にカーブするところの左手にある。ここは以前にサイクリストがストップしているのを見かけ「何もないのに」と不思議に思っていたところだが、マイルストーンの位置を地図で見て「なるほど、ここだったんだ」と納得した。また、なぜ水仙なのかと思ったら、ちょうど水仙祭りの真っ最中。「甘酒どうぞ。暖まりますよ」と誘われたが、アルコールが入っていると飲酒運転になるのであきらめた。ここは1月〜2月にかけ約100万本の水仙が咲き誇る「水仙ロード」だったというのは後で知った。何度も走っているが、海しか目に入らなかったようだ。

北下浦海岸通りのマイルストーン<水仙>
北下浦海岸通りのマイルストーン<水仙>

 三浦海岸から県道215号へ入っても地獄の向かい風が続く。下りは横風が怖くて飛ばせず、ハンドルをしっかり握っていないと風にもっていかれそうだ。毘沙門手前の下りでは2度ほど吹き飛ばされそうになり、風との戦いに負けて止まりそうにもなった。

 「宮川公園のマイルストーン<マグロと大根>」は、三浦半島1周で最大の壁の毘沙門の坂を上ったピークにある宮川公園の入口にある。ここは三浦市。マグロと大根は言わずもがなだ。

宮川公園のマイルストーン<マグロと大根>
宮川公園のマイルストーン<マグロと大根>

 ここで時刻は午後0時17分。お昼は三崎でマグロでもと思ったが、次の荒崎が地図を見てもよく分からなかったので、まずそちらをゲットすることを優先にした。県道215号の突き当たりを三崎港には下らず右折して三崎口駅方面へ向かう。ようやく向かい風から開放された。引橋から国道134号に復帰。ソレイユの丘入口交差点を左折する。この先はソレイユの丘へ向かってのきつい上りとなるが、ピークからは白波が押し寄せている相模湾が一望。上った甲斐のある絶景だった。

 下って突き当たりを左折。再び強烈な向かい風の中を走って荒崎公園へ。ここかなと思った場所にいってみたが、マイルストーンはない。

荒崎公園。ここにマイルストーンはなかった
荒崎公園。ここにマイルストーンはなかった

 公園を少し入ったところの右手で、自転車だと自然と行ける場所。HPの写真とも似ているようだが、微妙に違っている。ここではないらしい。しかし、GPSではマイルストーンの上にいることになっている。もしかして風で吹き飛ばされた? そんな馬鹿な。手前にあった「夕日の丘」と標識があるところを入ってみたが、いきなりの急坂。ここじゃないな。それなら公園の奥か? と思って行ってみたが何もない。強風に荒れ狂う海岸があるだけだ。

荒崎。強風で波しぶきが飛んでくる
荒崎。強風で波しぶきが飛んでくる

 何度も公園内を行ったり来たり。20分以上さまよい続け、あきらめようかと思い始めたが、見つからないのは悔しいし、ブログネタにもならない。ベンチに座り、落ち着いてスマホで過去に訪問したサイクリストのブログを検索していると「あった!」。「夕日の丘」を入ればいいらしい。でも、そこは2度ほどいったが急坂であきらめたところだ。その先のピークにあるのか。

荒崎の夕日の丘への入口
荒崎の夕日の丘への入口

 ところが、よく見ると坂の途中に左手へ入るところがあり、その先に何か見えてきた。あれか!?

左手先にマイルストーンが見える
左手先にマイルストーンが見える

 しかし、ここはどうもバーベキュー場みたいで、道ではない。おまけに階段。自転車をかついでいくしかないが、近づいてみると、あったよ「荒崎公園のマイルストーン<タカアシガニ>」。ようやく発見した。

荒崎公園のマイルストーン<タカアシガニ>
荒崎公園のマイルストーン<タカアシガニ>

 まるでクイズ。もうちょっと分かりやすいというか、自転車で漕いでいけるところにして欲しかった。HPの説明によると、生きている化石と呼ばれるタカアシガニは荒崎公園眼下の相模湾の深海に生息し、近くの長井港は神奈川県内で唯一水揚げしている場所だそうだ。

 荒崎で時間を食い、次の湘南国際村も場所に自信がなかったので、コンビニで軽く食べて先を急ぐことにした。

 引き返して荒崎港、長井港と過ぎ、荒崎入口交差点から国道134号に復帰。途中にあったコンビニで肉まんをほおばっていると、「サイクル・エイドステーション」というステッカーが目に飛び込んできた。イベントと平行してこういうサービスも行っているらしい。パンク修理キットはほとんどの人が持っているだろうが、空気入れが借りられるのはありがたい。

コンビニに貼ってあったサイクル・エイドステーションのステッカー
コンビニに貼ってあったサイクル・エイドステーションのステッカー

 湘南国際村秋谷入口交差点を右折して湘南国際村へ向かう。7〜8%の急坂を上り、コンビニがあるT字路を右折してもうひと上り。この坂の途中で左を見ると富士山が見えるのだが、この時は残念なことにその姿は拝めなかった。

 最近は上まで上っていなかったので、マイルストーンの位置はHPの地図で見る限り、「もとまちユニオン」があったあたりかなと見当をつけ、そこまで行ってみたが何もない。あ〜あ、またさまようのか。

 池の近くらしいがどこなんだろう? 少し戻ってT字路を入ると、スロープがある。GPSで確認するとこの先だ。上ってみるか。

湘南国際村センター横にあるスロープ
湘南国際村センター横にあるスロープ

 上った先には東屋があり、その先に行ってみたが何もない。もっと上か。階段しかないので再び自転車をかついで上ってみると、あったあった。「湘南国際村のマイルストーン<ツツジ>」発見。ここも難関。眺めのいいところに作りたかったのは理解できるが、サイクリストへの挑戦としか思えない。

湘南国際村のマイルストーン<ツツジ>
湘南国際村のマイルストーン<ツツジ>

 湘南国際村は「かながわ花の名所100選」に選定されており、4月末から5月初めにかけて約10万株のツツジが見ごろになるという。水仙といいツツジといい知らないことばかり。春に絶景を眺めにまたやってこようと、強風で吹き飛ばされそうになりながら誰もいない寒々とした頂上で思った。

 下りてみて分かったのだが、スロープを最後まで上り続ければ、ピーク手前までは来ることができるようだった。

 残りのマイルストーンは3つだが、これは簡単だった。

 先ほど上った坂を気持ち良く下って引き返し、国道134号を右折するとすぐに長者ケ崎。駐車場の奥に「長者ケ崎のマイルストーン<ヨット>」があった。

長者ケ崎のマイルストーン<ヨット>
長者ケ崎のマイルストーン<ヨット>

 ここは葉山町で「日本のヨット発祥の地」。この先にある葉山港にはその碑もある。

 この先は国道134号でも県道207号でもどちらを進んでもいいのだが、県道の方が気持ちがいいので葉山御用邸の前は直進し、渚橋から国道134号へ復帰した。次の小坪へは国道から直接は行けない。渚橋を直進し、田越橋を左折。逗子駅前の池田通り交差点を左折し、小坪入口交差点も左折し、突き当たりを左折して行くのが一般的だが、今回は渚橋を左折して国道を進み、小坪付近のトンネルを過ぎたところで国道を横断。駐車場の裏から引き返してトンネルを抜けていくルートで行った。

 「小坪飯島公園のマイルストーン<海>」は逗子マリーナの北西の端にある。ここは遥かに江の島や富士山が見える、お気に入りの場所なのでHPの写真を見ただけですぐ分かった。

小坪飯島公園のマイルストーン<海>
小坪飯島公園のマイルストーン<海>

 ゆっくりしても良かったが、ここも風が強いので早々に引き揚げ、引き返して国道に復帰。海から陸に向かっての強風で砂が飛び、顔に当たって痛い。

 最後の「鎌倉海浜公園のマイルストーン<家族とビーチ>」は滑川交差点から広がる駐車場の西の端にあり、鎌倉海浜公園にはないがこれは地図で確認できていた。「家族とビーチ」の由来は、マイルストーンの目の前の由比ケ浜が「家族連れも楽しめるファミリービーチ」だということからだそうだ。

鎌倉海浜公園のマイルストーン<家族とビーチ>
鎌倉海浜公園のマイルストーン<家族とビーチ>
全スタンプをゲット
全スタンプをゲット

 スカレー君から鎌倉海浜公園まで約80キロ。ミッション終了は午後4時前で所要時間は5時間45分ほど。向かい風に阻まれ、2カ所で迷ったことで意外と時間がかかったが、終わってみると面白いサイクリングだった。一部を除けば自転車ラックや撮影用の台、ベンチもありサイクリストにとってはありがたい。三浦半島1周にまた新しい魅力が加わったようだ。これで景品がゲットできればなお良し(^o^) 【メディア戦略本部 石井政己】