サン・バビラ広場、ヨーロッパ通りに面したカフェ・パスクッチ
サン・バビラ広場、ヨーロッパ通りに面したカフェ・パスクッチ

ミラノ初のマックが34年の歴史に幕

 去る7月20日、ミラノの中心部サン・バビラ広場にあるマクドナルドが34年の歴史に幕を閉じた。ミラノで最初のマクドナルドだった。

 俗に「唇が切れるほど硬い」といわれる独特のパンを使ったパニーノのあるイタリアにおいては、柔らかなバンズのハンバーガーは「パーネ・ゴンモーゾ」(ゴムみたいに柔らかなパン)と揶揄された時代もあったが、今や完全にイタリア人の生活に浸透している(しかし、イタリア人はハンバーガーもパニーノって呼ぶのですけどね…)。

1883年サン・マリノで創業されたブランド

 そのマクドナルドのまさに隣に誕生したのが「カフェ・パスクッチ」だ。

マッチャ・ラテを作るイケメンのバリスタ
マッチャ・ラテを作るイケメンのバリスタ

 カフェ・パスクッチは1883年、サン・マリノで創業された歴史あるコーヒーブランド。日本でも人気のラバッツァやセガフレード・ザネッティ同様にコーヒー豆の卸元として欧州内にもチェーン店を持つ。

 そのパスクッチが人気を博したのは皮肉にもスターバックスのような美味しいエスプレッソを基本に多彩なラテメニューをそろえているためだ。

バール文化を支える組合が出店に反対?

 現在のところ、イタリアにはスターバックスはない。一説には立ち飲みカフェのBAR(バール)文化を支える組合が出店に反対しているとの噂もあるけれど、海外旅行でスタバを経験した若者たちからは熱望されている。

 そんな事情もあって、パスクッチの存在はイタリアの若者が求めるスタバ的な市場にピタリとはまったかたちだ。

抹茶シェイク(左)、フラゴラ・シェイク(イチゴ)。ともに3.5ユーロ
抹茶シェイク(左)、フラゴラ・シェイク(イチゴ)。ともに3.5ユーロ

 イタリアの食文化に一石を投じたマック1号店が去り、その隣に新しいイタリアン・カフェ文化を牽引するパスクッチが出店する。まさに時代の転換期という感じがする。(イタリア・ミラノから新津隆夫。写真も)