ザガートによる7000系(左)と並ぶ23番の1500系車両(始発点のミラノ・フォンタナ広場で)
ザガートによる7000系(左)と並ぶ23番の1500系車両(始発点のミラノ・フォンタナ広場で)

ミラノには現在19ライン

 ミラノには現在19ラインものトラム(路面電車)が走っている。歴史は古く1928年に開業。総延長距離は170キロだそうだ。

 その中でドゥオモ(大教会)の裏、フォンタナ広場を起点とする23番のトラムが先ごろ廃線となり議論を呼んでいる。

 ミラノのトラムはラインによって重複した路線を通っているものもあり、実際には問題の23番はスフォルツェスコ城のあるカイロリ駅からミラノ市東端のランブラーテ駅までは19番のトラムと同じ線路の上を走っている。廃線になったからといって市民の足に影響は出ない。

ネット上でも「残せ」の声

 もちろん、この廃線は営業合理化のため。しかし、沿線の住民からは名門・ミラノ工科大学のあるチッタ・ストゥディ(学生街)からランブラーテ駅を通る歴史的シンボルの損失にSNS上で廃線に抗議する声もあがっている。「歴史あるミラノのトラム23番路線を簡単になくしていいものか?」「19番と統合されるならば、23番を残せばいいではないか」などなど。

路地裏まで延びる線路

 ミラノのトラムは大通りはもちろん、「え? こんな場所に??」と、散歩していると突然のトラムの出現に驚くような路地裏にまで線路がくまなく巡り張らされている。

 東京の都電や地方の市電でも用いられているような一両型の車両から、大量輸送のために車両を連結させた昨今日本でも注目されているLRT(ライトレール)まで車両のバリエーションも様々。ちなみに、新型のATM7000シリーズはスーパーカーのデザインでも知られるザガートによる設計で、日本人デザイナー原田則彦さんが担当をした。

木材の車内に座席も木製

 問題の23番はトラム車両の中でも最も古い1500系という車両で、車内はふんだんに木材が用いられている。座席ももちろん木製だ。

 「歴史ある23番を残そう!」と訴えている参加者は現在500人強。引き続きフェイスブックやツィッターで呼びかけていくという。(イタリア・ミラノ在住・新津隆夫。写真も)