ビバリー・ウィルシャーはビバリーヒルズを代表するホテルのひとつです
ビバリー・ウィルシャーはビバリーヒルズを代表するホテルのひとつです

恋愛映画の最高傑作のひとつ

 ジュリア・ロバーツを一躍スターにした映画「プリティ・ウーマン」をご存じですか? 90年に公開された同作は、LAで撮影された映画史に残る恋愛映画の金字塔だと思っていたのですが、最近の若者は「プリティ・ウーマン」を知らないと言うショッキングな話を旅行業界の人から伺いました。ここLAでは、映画のロケ地として真っ先に紹介されるのは、「プリティ・ウーマン」の舞台となったロデオ・ドライブとビバリー・ウィルシャー・ホテル(現Beverly Wilshire、A Four Seasons Hotel)ですが、どうも最近は映画そのものを知らない人が多いので、ロケ地紹介としてはあまり人気がないと言うのです。

ロデオ・ドライブはおよそ2ブロックにわたって高級ブランド店が軒を連ねる観光名所です
ロデオ・ドライブはおよそ2ブロックにわたって高級ブランド店が軒を連ねる観光名所です

女性憧れのロデオ・ドライブ

 本作はロバーツ演じるコールガールのビビアンが、リチャード・ギア演じる実業家エドワードと出会って次第に惹かれあい、素敵な女性へと変身していくシンデレラストーリーです。高級ブランド店が軒を連ねるショッピング街ロデオ・ドライブを舞台にコールガールから見事にトップレディーへと変身していく様は女性のハートをつまみ、抱えきれないほどのブランド品を買物する場面が撮影されたロデオ・ドライブは世界中の女性の憧れの場所となりました。バブル期には日本からも大勢の観光客が訪れ、多くのショップで日本語を話せる店員もいて、とても賑わっていました。

ビバリー・ウィルシャーでカフェでも

 また、劇中でエドワードがビビアンとともに滞在したビバリー・ウィルシャーも、映画を象徴する舞台として人気となりました。映画では最上階にあるペントハウスに宿泊する設定でしたが、実際のペントハウス内はスタジオのセットで撮影されたそうです。外観はたびたび映画に登場しており、エレガントで高級感溢れるこのホテルに泊まるのも当時の女性の憧れでした。スタンダードタイプの部屋でも1泊数百ドルはするので、カフェでお茶だけでもしたいという女性も多くいたのです。

素敵な街並み。映画のワンシーンのようですね
素敵な街並み。映画のワンシーンのようですね

観光客は日本人から中国人に

 映画は今年公開25周年を迎え、ブロードウェイでミュージカル化されることが発表されるなど、今も世界中のファンに愛されています。しかし、ロケ地となったロデオ・ドライブは、リーマンショック以降は訪れる人が激減し、昔の賑わいが嘘のように閑散としていた時期もありました。それに加えて先の旅行関係者のコメントを証明するように、近年はめっきりと日本人観光客が減り、代わりに高級ブランド店で買物しているアジア人のほとんどが中国人と言ってもよいほど、今は中国人で賑わっています。時代の流れなのでしょうが、かつてのロデオ・ドライブ人気を知っている者としてはちょっとさみしい限りです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。写真も)