雲の合間からうっすらと見えたスーパーブラッドムーン。赤みを帯びているのが分かります
雲の合間からうっすらと見えたスーパーブラッドムーン。赤みを帯びているのが分かります

33年ぶりの天体ショー

 月が地球に最も近づいて通常の満月よりも大きく見える「スーパームーン」と月全体が地球に隠れる皆既月食が同時に起こる珍しい現象「スーパーブラッドムーン」が現地時間27日夜に33年ぶりに見られるとあり、ここロサンゼルスでも多くの人々が月見を楽しみました。

 日本では残念ながら時間の関係で見ることはできなかったそうですが、北米大陸のほか、アフリカ、西アジアなどでもこの現象によって真っ赤に染まった大きく輝く月が観測されたそうです。「ブラッドムーン」とは月が地球の影に入った際に真っ暗になるのではなく、地球の大気で太陽の可視赤色光が散乱するために夕焼けと同じ原理で月が赤く輝く現象で、英語では血のように赤い月という意味からブラッドムーンと呼ばれています。

20世紀以降わずか5回 次は18年後

 米航空宇宙局(NASA)によると、スーパームーンと皆既月食が同時に起こるのは1900年以降わずか5回しかなく、前回は1982年だったと言います。そして次回見られるのは18年後の2033年ということで、多くの人が公園や自宅ベランダなどで空を見上げて赤く染まった月にカメラを向けていました。

地球の影の中心に近いそうで、なんとなく暗く見えるのが分かりますか?
地球の影の中心に近いそうで、なんとなく暗く見えるのが分かりますか?

 ここLAでは、午後7時11分頃からおよそ2時間に渡って楽しめると言われていましたが、残念ながらこの日は曇り空で、靄(もや)の中にうっすらとした月明かりを見ることしかできませんでした。それでも、通常の満月よりも30%も明るく、もっとも小さな満月よりも14%も大きく見えるとあり、靄のかかった雲の合間からでも月明かりを楽しむことができました。

セレブたちもお祭り騒ぎ

 33年ぶりの天体ショーは、ハリウッドセレブたちも楽しんだようで、サラ・ジェシカ・パーカーはニューヨークの自宅からインスタグラムで実況中継していました。ケイティ・ペリーやコートニーとクロエ・カーダシアン姉妹らもツイッターで月見をリポートしており、ハリウッドでもちょっとしたお祭り騒ぎになっていました。

 しかし、そんなお祭りムードの裏で、血のように赤い月は不吉な予言であるという噂が飛び交い、スーパームーンと重なったことからネット上では28日に世界が終末の時を迎えるのとの書き込みがあり、騒ぎになっていました。聖書に「赤い月」とともに最後の審判が下されると言う記述があることや、過去1年半の間に部分月食を含まない皆既月食が4回連続で続く「テトラッド」と呼ばれるとても珍しい現象が起きており、それが要因となっているようです。

予言が外れて何より

 過去のテトラッドが起きた年を見ると、カトリック教徒によるユダヤ人追放やイスラエルの建国、イスラエルを中心とした第1次中東戦争などユダヤ史上でもっとも重要な出来事が起きているため、ユダヤ教神秘主義者たちはスーパーブラッドムーンの日に、人類が生き残れないような大災害が起きるのではないかと予言していたようです。でもこの原稿を書いている現時点で、予言は外れだったようですね。そして、今朝は世界各地で観測された美しいブラッドムーンがネット上でたくさんリポートされています。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。写真も)