注文カウンターと受け取り口は別。店員は大量のオーダーをテキパキとさばいていきます
注文カウンターと受け取り口は別。店員は大量のオーダーをテキパキとさばいていきます

ランチやディナー時には長蛇の列

 メキシコと国境を接するカリフォルニアには、多くのメキシコ人が住んでおり、本場メキシコの味が楽しめるメキシカン料理のお店がたくさんあります。

 メキシコから車でおよそ3時間のLAでは、タコスは気軽に食べられるファストフードとして人気の食べ物です。昨年4月に日本再上陸を果たしたタコベルなど大手チェーン店からフードトラックまで、様々なタコスが売られていますが、家の近所にあるTito's Tacosと言う小さなタコスタンドは知る人ぞ知る有名店。何の変哲もない小さな店舗で、何でここが? と不思議ですが、とにかくいつ行っても混んでいて、ランチやディナー時には長蛇の列ができています。

チップスとサルサ(左の赤いソース)は無料。これが意外にも美味しいのです。右の緑のソースはワカモレ。タコスは具がたっぷりで1個でもお腹がいっぱいになります
チップスとサルサ(左の赤いソース)は無料。これが意外にも美味しいのです。右の緑のソースはワカモレ。タコスは具がたっぷりで1個でもお腹がいっぱいになります

厚め揚げたて無料チップス

 1959年から続く老舗と言うことですが、人気の秘訣はできたてのトルティーヤやチップ、それに素朴な味。タコベルはどちらかと言うと洗練されたアメリカナイズされた味だとすると、こちらは懐かしく質素な味わい。オーダーすると無料でもらえるチップスは、厚めで揚げたてなのでいくらでも食べられちゃいます。

 タコスはビーフとレタスがたっぷり入った1種類しかなく、1個$2.10。これにチーズをトッピングすると$2.80と、いたってシンプルなメニューも人気の秘訣なのかもしれません。しかもソフトシェルはなく、ハードシェルのみ。パリパリの皮にぎっしり詰まった具の上に、無料でもらえるサルサをたっぷりとかけていただきます。地元の人はこれに、別売りのアボカドソース「ワカモレ」も一緒にかけて食べます。

 タコス以外にも、豆やご飯をトルティーヤで包んだブリトーやトウモロコシの皮に肉などを詰めて巻いたタマレなどもありますが、地元の人に人気なのはじっくり煮込んだトロトロのお肉がたっぷり入ったチリコーンカーン。唐辛子、豆や野菜と一緒に煮込んだビーフシチューみたいなこの料理は、ドラマの中で刑事コロンボがドライブインでいつも注文していたものとしても有名。南部の人たちには人気の高い食べ物です。

シンプルな外観ですが、ランチやディナー時には外までずらりと行列ができます
シンプルな外観ですが、ランチやディナー時には外までずらりと行列ができます

耳から離れぬCMソング

 実はこのお店はテレビCMでもお馴染みで、テレビから流れてくる“I love Tito's Tacos”と言うテーマソングが耳から離れない! と言う人も多く、これを聞くとついつい足を運んでしまいたくなるのかもしれません。安くてボリュームたっぷり。おまけに高カロリーなので、お腹が空いた時にはぴったりって感じのアメリカならではの食べ物です。日本人には、そんなに並んでまで食べる価値あるかな? って感じですが…。でも、LAを訪れた方はぜひ一度は試してみてください。LAならではの食文化を肌で感じることができますよ。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。写真も)