カーメル。おとぎの国のような建物が並ぶ街は散策にぴったり

イーストウッドが２年間市長

　前コラムで紹介したモントレー半島の南側に位置するカーメル・バイ・ザ・シーは、美しい景観から芸術家が集まる街として知られています。カーメルの名で親しまれる土地は、こじんまりとした小さな街ながらまるでヨーロッパのような美しい街並みとモントレーから続く荒々しいながらも美しい海沿いの景観で、多くの人々を魅了しています。あのクリント・イーストウッドが1986年から88年まで２年間市長を務めていたことでも知られ、イーストウッドが所有するホテルとレストランを併設するリゾートランチもあります。

どこを切り取っても絵になります

ハイヒール禁止の法律も

　芸術家たちが数多く暮らすカーメルのダウンタウンには、ギャラリーやセンスの良い小物や雑貨などを販売するセレクトショップが多く、徒歩でのんびり街歩きを楽しめるのも特徴。景観を損なわないように配慮された街には派手なネオンや看板は一切なく、信号も少なく、木製で統一された街並みはまるでメルヘン童話の世界に迷い込んだような雰囲気。カリフォルニア広しと言えども、他には見ることのできない独特な街づくりが行われており、郵便配達がなかったり（住民は街にある郵便局の私書箱を利用）、許可なくハイヒールを履いてはいけないなんていう独自の法律もあるのだそう。

海に面する美しいコースが人気のペブルビーチ

伝道所やペブルビーチ、17マイルドライブ

　そんなカーメルの魅力のひとつが、カリフォルニアで最も美しいと言われる1770年にフランシスコ会の宣教師によって造られたカリフォルニアで２番目となる伝道所ミッション・カーメル。太平洋を見晴らす静かな庭園に囲まれたミッションは、優雅な建物と美しいロケーションで観光客にも人気のスポットです。他にも周囲を高級住宅地に囲まれた世界的に有名なゴルフ場ペブルビーチも見どころのひとつ。モントレーとカーメルをつなぐ17マイルドライブ（約27キロ）と呼ばれる有料道路（徒歩と自転車での通行は無料）の途中にあり、起伏に富んだ美しい海岸線を眺めながらドライブできるコースを走る人たちの立ち寄りスポットになっています。海風にさらされて捻じ曲げられたように見える杉林や変化に富んだ海岸線、アザラシが昼寝をする岩肌、白い砂浜が続くビーチなど見所が沢山ある17マイルのドライブは、絵に描いたような美しい景色が楽しめるのでおすすめです。

17マイルドライブは人気のドライブコースです。自転車で走る人もたくさんいます

おしゃれなワインバーやチーズ専門店

　また、カーメルにはワイナリーも点在しているので、ワイン好きならぜひ楽しみたいのがワインテイスティング。ダウンタウンには周辺ワイナリーで生産されたワインを試飲できるテイスティングルームがいくつかあり、特に小ロット生産で他の地域には出回らないラス・ワインズなどはおすすめ。おしゃれなワインバーや世界各国の300種類を超えるチーズが並ぶチーズ専門店、地元の契約農家から仕入れたオーガニック素材のみを使ったカフェなど、グルメ通にも大満足のスポットもいっぱいです。

：変化に富んだ海岸線で見る夕日も格別です

モントレーとは車で10分も別世界

　モントレーとカーメルは車で10分程度の距離ながらまったく異なる顔を持っているのが特徴。サンフランシスコやシリコンバレーからは日帰りもできるので、ちょっと足を延ばした一日観光におすすめですよ。（米ロサンゼルスから千歳香奈子。写真も）

美しい庭園を持つカーメルのミッションは季節によって様々な顔を見せるため、写真家や画家にも人気のスポット