目の前には青い海とヤシの木が広がる最高のロケーションにある元スナップチャットのオフィス。現在はMobliのオフィスとなっています。こんな環境で働けるなんて夢みたいですよね

新興IT企業の新たな拠点

　サンフランシスコ南部にあるシリコンバレーは、アップルやインテルなど多くの有名IT企業が集まるIT産業の町として日本でも知られています。

　近年はLAのビーチサイドがその地位を奪う勢いで急成長しています。シリコンバレーにちなみ、「シリコンビーチ」と呼ばれるほど新興のIT企業の新たな拠点として注目を集めているのは観光地としても知られるサンタモニカとベニスビーチ一帯のオーシャンフロント。あのミランダ・カーの婚約者がCEOを務めるスナップチャットや秘密を共有する匿名アプリ「ウィスパー」、レオナルド・ディカプリオも投資している写真・動画共有アプリ「Mobli」やグーグルなど今や800社ものITベンチャー企業がオフィスを構えています。

　そして今やその規模はシリコンバレーに次いで世界で２、３位を争うほどだとも言われています。

グーグルのオフィスは「双眼鏡ビル」と呼ばれるユニークな建物。かつて広告代理店のオフィスだった場所で、地元の著名建築家フランク・ゲーリーによって建築されたものです

群抜く景観、気候、住みやすさ

　LAのビーチシティの魅力は何と言っても景観と気候の良さ。住みやすさで言うと、シリコンバレーよりもシリコンビーチの方が良いと答える人もいるほど、環境は抜群。それに加え、LAにはカリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）や南カリフォルニア大学（USC）、ペッパーダイン大学など世界的に知られる名門大学がいくつもあり、人材が豊富なことも要因のひとつになっているようです。

　また、シリコンバレーは多くのIT企業が集まったことで世界でも有数の生活コストが高い町となり、コスト面からもより安く起業できる南に人材や会社が移動し始めたとも言われています。サンタモニカからスタートして急成長するITベンチャーも増えており、最近では留守中に愛犬の預け先を探すことができるアプリ「DogVacay」などもそのひとつです。

ベニスビーチからすぐの場所に移転したスナップチャット本社の新しいオフィスは、とてもオフィスとは思えない外観です。オフィスを出ると、左手はすぐビーチです

進出に沸くプラヤビスタ

　そんなLAのビーチシティがIT業界で注目されるきっかけとなったのが、2011年にグーグルがベニスビーチにLAオフィスをオープンさせたこと。さらにスナップチャットが、まさに海が目の前に広がるベニスビーチのウオーターフロントの一軒家をオフィスに構えたことなどから一気にシリコンビーチの名が広まっていったようです。

　ハリウッド映画のお膝元には、投資家やデザイナーや音楽家などのアーティストも数多く住んでおり、広大な土地や撮影スタジオなども多数あるので、ベンチャー企業にとってはスタートさせやすい環境が整っているといえます。

　そして今、その流れはさらに南へと広がっており、ロサンゼルス空港近くの町、プラヤビスタはまさにIT企業の進出ラッシュに沸いています。フェースブックやマイクロソフトが進出して急成長中のプラヤビスタは次回のコラムでたっぷり紹介したいと思います。（米ロサンゼルスから千歳香奈子。写真も）