入り口では2機の戦闘機がお出迎え
入り口では2機の戦闘機がお出迎え

サンディエゴ航空宇宙博物館

 トム・クルーズ主演の映画「トップガン」(1986年)の舞台として知られるサンディエゴは、海軍の航空部隊が生まれた地であり、軍事産業、航空機産業が盛んな都市として知られています。そんなサンディエゴには、軍関連の飛行機や船を展示する博物館がたくさんありますが、その1つに航空機ファンにはたまらないと評判のサンディエゴ航空宇宙博物館があります。

アポロ9号ミッションで実際に使用された司令船も見ることができます
アポロ9号ミッションで実際に使用された司令船も見ることができます

アポロ9号司令船

 サンディエゴの観光名所として知られるバルボアパーク内にあるこの博物館は、過去の世界大戦で使用された戦闘機をはじめ、1930年代に行われていた飛行レース用の飛行機やアポロ9号ミッションで使用された司令船、世界初の飛行機やパイロットとして知られるライト兄弟の飛行機の実物大模型など約70の飛行機や宇宙船が展示されています。ワシントンDCのスミソニアン航空宇宙博物館には及びませんが、日本のゼロ戦(三菱62型零式艦上戦闘機 A6M7)の実物機の展示などもあり、見ごたえたっぷりです。

リンドバーグ兄弟の飛行機など様々な初期の飛行機のレプリカや模型も多数展示されています
リンドバーグ兄弟の飛行機など様々な初期の飛行機のレプリカや模型も多数展示されています

戦闘機2機がお出迎え

 1963年に開設されたサンディエゴ航空宇宙博物館は、1978年に放火によって消失。貴重な歴史的コレクションの一部が失われる損害を出しましたが、航空業界や軍関係者の強い要望によって個人コレクターから新たに飛行機の寄付を受けるなどして1980年に再オープンさせた歴史があります。入り口正面には、ロッキードA-12偵察機と戦闘機コンベア・シーダートが出迎えてくれます。

戦争で使用された実物機は状態も良く、必見です
戦争で使用された実物機は状態も良く、必見です

スピリット・オブ・セントルイス

 そして入り口を入ると最初に目にするのは、リンドバーグが1927年に初の大西洋無着陸横断飛行を成し遂げた「スピリット・オブ・セントルイス」のレプリカ。複製品ではあるものの、実際に飛行が可能な飛行機だと言います。そのお隣にはアポロ9号ミッションの司令船も見ることができます。円形になった博物館内には、時代ごとに分かれたセクションにF4FワイルドキャットやF6ヘルキャット、水陸両用機カーチス・ライトなど良好な状態の戦闘機が並び、軍用機マニアには涙ものの展示が続きます。

民間機の展示もあり、中にはフライトアテンダントの制服の歴史が分かる面白い展示コーナーも
民間機の展示もあり、中にはフライトアテンダントの制服の歴史が分かる面白い展示コーナーも

アメリカ永遠の翼の“登場機”

 また、サンディエゴのミラマー海軍基地で毎年アクロバットショーを行う鮮やかなブルー色の機体が特徴の米海軍ブルーエンジェル飛行隊のマクドネル・ダグラス(現ボーイング)のF/A-18ホーネットやミグ17戦闘機、ヒラリー・スワンク主演で大西洋横断に成功した女性飛行士を描いた伝記映画「アメリカ永遠の翼」(2009年)にも登場するロッキードベガの模型などの展示もあり、さまざまな航空機を間近で見ることができます。また、博物館の地下には壊れた航空機の修理工場もあり、退役軍人など150名以上のボランティアが修復作業を行っており、子供の教育などにも力を入れていることで知られています。

世界最高と言われるアクロバットチーム「ブルーエンジェル」のF/A-18機も間近で見られます
世界最高と言われるアクロバットチーム「ブルーエンジェル」のF/A-18機も間近で見られます

オタクもそうでない人も

 初期の飛行機、第1次世界大戦、第2次世界大戦、そして近代ジェット機へと続く展示は、航空機の世界や歴史をより知ることができ、航空オタクはもちろん、一般の人も十分に楽しむことができます。バルボアパーク内には他にもサンディエゴ動物園や自然史博物館、サンディエゴ美術館、自動車博物館など美術館や博物館がたくさんあるので、そちらも併せて訪れるのもおすすめです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。写真も)

戦闘機コーナーには歴史的な資料も展示されています
戦闘機コーナーには歴史的な資料も展示されています