名優カーク・ダグラスの名前を冠にした劇場。ミュージカルや演劇などを中心に上演される小劇場です
名優カーク・ダグラスの名前を冠にした劇場。ミュージカルや演劇などを中心に上演される小劇場です

 映画の都と言えばハリウッドを連想しますが、ロサンゼルス空港の北東に位置するカルバーシティは、100年前に映画の街として作られた市です。「ハート・オブ・スクリーンランド(映画の土地の心臓部)」の名で親しまれてきたカルバーシティは、面積約13平方キロほどの小さな市ですが、今でもソニー・ピクチャーズのスタジオがあり、周辺には多くのエンターテイメント関連の会社があります。

道路には今でも「ハート・オブ・スクリーンランド」の文字が刻まれています
道路には今でも「ハート・オブ・スクリーンランド」の文字が刻まれています

 ロサンゼルス空港から車で15分、北にビバリーヒルズやハリウッドを擁し、東はロサンゼルスのダウンタウン、西はサンタモニカと言うとても便利な立地にあるカルバーシティは、1917年に不動産王のヘンリー・カルバー氏が開発した都市。カルバー氏が1918年に映画監督のトーマス・インス氏のスタジオとして作られたカルバー・スタジオを誘致したことから、映画の街へと発展していきます。

多くの名作が生まれたカルバー・スタジオは現在も健在です
多くの名作が生まれたカルバー・スタジオは現在も健在です

 20年代にはカルバーシティには3つの映画スタジオがありました。中でもカルバー・スタジオでは、多くの無声映画や早川雪州の「タイフーン」(20年)などが製作され、インス氏亡き後の30年代後半にはMGM傘下となり、「風と共に去りぬ」(39年)の撮影が行われたことで知られています。ジョージア州アトランタが舞台の同作ですが、アトランタではロケは行っておらず、そのほとんどがこのカルバーシティのスタジオで撮影されていたんです。他にも、「市民ケーン」(41年)や「E.T.」(82年)など多くの名作がこのスタジオから生まれています。そして現在はソニー・ピクチャーズのスタジオの一つとなっており、この100年間で何百本もの映画を誕生させてきた映画ファンにとって聖地のような場所として知られるようになりました。

後ろに言える建物がカルバーホテル。ホテルのすぐ横には映画館もあります
後ろに言える建物がカルバーホテル。ホテルのすぐ横には映画館もあります

 そんなカルバー・スタジオのすぐ向いにあるのが、1924年に建てられたカルバー・ホテル。レンガ造りのとってもクラシックなホテルは、当時はハリウッドセレブたちの社交の場として有名でした。チャーリー・チャップリンが一時期オーナーだったことで知られ、その後は西部劇のスター、ジョン・ウェインが共同オーナーに加わった時期もありました。1938年に「オズの魔法使い」のロケがカルバーシティで行われた際には、ドロシーを演じたジュディ・ガーランドをはじめキャストの多くがカルバー・ホテルに宿泊。今もホテルの1階には当時の思い出の品などが飾られています。また、クラーク・ゲーブルやジョーン・クロフォード、ロナルド・レーガンらも定宿にしていたことでも知られています。現在もホテルとして営業をしており、1階のレストランとバーは地元の人たちにも人気のスポットです。

三角の形をしたカルバー・ホテルはハリウッドセレブの社交場として栄えた場所
三角の形をしたカルバー・ホテルはハリウッドセレブの社交場として栄えた場所

 そこから少し歩けば、名優カーク・ダグラスの名前を冠にしたカーク・ダグラス劇場があり、さらにソニー・ピクチャーズのスタジオと本社ビルなどもあります。また、ベテランズ・メモリアル公園内には、カルバーシティの映画産業の歴史を保存・紹介する資料館もあります。そんな歴史ある映画の街カルバーシティは、現在は地下鉄が開通し、古い建物を再利用した再開発でおしゃれな街へと生まれ変わっています。今、LAでもっとも注目を集めるおしゃれエリアの一つ、カルバーシティの現在の魅力は次回のコラムでお伝えします。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)