ここ数年、リカーストアーやスーパーマーケットで「ハードサイダー」を見かける機会が増えていますが、これから夏本番に向けて静かなブームとなりつつあります。日本ではサイダーと言うと、三ツ矢サイダーに代表される炭酸飲料水を思い浮かべると思いますが、こちらでサイダーと言えばリンゴを使ったシュワシュワ発砲するお酒。そう、日本でも親しまれているフランスのシードルのことなのです。リンゴ以外にも梨やパイナップルなどのフルーツを使い、シュワっとした喉越しとフルーツのフレーバーが涼やかな夏にぴったりのお酒です。

 ハードサイダーの生産地としてはオレゴン州が有名ですが、実はワインの産地であるカリフォルニアでも様々なハードサイダーが作られており、70を超えるハードサイダーのメーカーがあると言われています。クラフトビールに続く市場として新たなブームを巻き起こしつつあるハードサイダーですが、カリフォルニアを代表する美味しいハードサイダーを紹介します。

101サイダー・ハウスは、ユニークなフレーバーとグルテンフリー、ビーガンの安心安全なハードサイダーとして人気 (写真は101サイダー・ハウスのHPより)
101サイダー・ハウスは、ユニークなフレーバーとグルテンフリー、ビーガンの安心安全なハードサイダーとして人気 (写真は101サイダー・ハウスのHPより)

 「グルテンフリー」「ビーガン(完全菜食主義)」「遺伝子組み換えなし」などの文字が並ぶいかにもヘルスコンシャスな人が多いカリフォルニアでウケそうなのが、「101 Cider House」。ロサンゼルス(LA)の北西部のウエストレイク・ビレッジにある101サイダー・ハウスは、天然の乳酸菌のみが含まれるプロバイオティックの認定も受けているとてもヘルシーでユニークなサイダーです。もちろん100%フレッシュプレスしたリンゴやフルーツからできており、安心して楽しむことができるので女性にも人気。バジルやブラッドオレンジ&ラベンダーなど他ではお目にかからないユニークなフレーバーも多く、色々と飲み比べしてみたくなります。

リンカーン大統領の顔がデザインされたラベルが目を引くホーネスト・エイブ・サイダーでは、飲み比べが楽しめるテイスティングも人気(写真はホーネスト・エイブ・サイダーのHPより)
リンカーン大統領の顔がデザインされたラベルが目を引くホーネスト・エイブ・サイダーでは、飲み比べが楽しめるテイスティングも人気(写真はホーネスト・エイブ・サイダーのHPより)

 日本人も多く住むLA南部のガーデナにあるのは、「Honest Abe Cidery」。日本語にすると「正直者のエイブ」という名前ですが、これは第16代米国大統領エイブラハム・リンカーンのことです。リンカーンの顔がロゴマークになったラベルがかわいいと評判ですが、ここではサイダーの他にもミード(蜂蜜酒)やリンゴを使ったワインも作っています。ボトル販売の他にも15種類あるハードサイダーやミードを飲み比べできるテイスティングも行っています。

ソノマ・サイダーはバーボン風など男性に人気のサイダーもある
ソノマ・サイダーはバーボン風など男性に人気のサイダーもある

 カリフォルニアワインの産地として有名なソノマに2013年に創業したのが、「Sonoma Cider」。西海岸産のオーガニックリンゴのみを使ったサイダーで急成長した業界でも注目のハードサイダーです。リンゴ以外にも梨やバーボン風などがあり、いずれも香り豊かなハードサイダーとして女性だけでなく、男性にも人気です。

サンタバーバラ・サイダーでは、明るいパティオ席で楽しくワイワイとテイスティングが楽しめます
サンタバーバラ・サイダーでは、明るいパティオ席で楽しくワイワイとテイスティングが楽しめます

 真っ赤なレトロなトラックのロゴがかわいい「Santa Barbara Cider Co」は、LAから北に車で1時間半ほどのワインの産地サンタバーバラにあります。新鮮なリンゴをプレスして作るハードサイダーは、添加物や不純物は一切加えていないのでリンゴそのものの味が楽しめます。50種類ものサイダーがあり、その中から常時12種類のサイダーをテイスティングすることができます。ブルーベリーやマンゴ、スイカなどのフレーバーもあり、季節ごとに色々な味が楽しめるのも特徴です。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」)