クリスマスシーズンは、1年でもっとも宅配業者が忙しくなる季節。日本のお歳暮のような感覚で色々な人にギフトを贈るアメリカでは、オンラインショッピングで買い物したり、郵便や宅配便を利用してプレゼントを送ったりするので、この時期は普段にもまして利用回数が増えます。そして、毎年この季節に思うこと、それは日本のきめ細かなサービスがいかに素晴らしいかということです。

 はっきり言ってアメリカの郵便、宅配便事情は最悪です。配達時間の指定なんてものはありませんし、ましてや不在届にドライバーの携帯電話番号が記載されていて、電話をすればその日のうちにすぐに再配達してくれるようなきめ細やかなサービスはありません。アメリカ人に日本の宅配サービスの話をすると、皆びっくりします。 

 不在だった場合、ポストに入らない大きな荷物は配達員が持ち帰ります。その日のうちに荷物を引き取りたいと言っても無理。翌朝に自ら配送センターに取りに行くと告げると渡してもらえますが、再配達してもらえるのは不在届を受け取った日を含めて3日間のみ。時間指定ができないので、いつ来るかわからない荷物を待ち続けなければなりません。もちろん日曜日や祝日、夜間の配達はお休みです。それを逃すと配送センターで一時預かりとなり、一定期間が過ぎると、送り主に自動的に戻されてしまいます。

 それでも不在届を置いていくならまだまし。受け取り時にサインが必要と指定された荷物(EMS=国際スピード郵便=や送り主が盗難防止などのために料金を払って指定する)以外だと、時にはチャイムも鳴らさずに玄関前に荷物をポンと置いて帰ってしまうドライバーもたくさんいます。

 アパートの場合、公共スペースであるロビーに段ボール箱や大きな封筒が無造作に置かれるわけで、当然盗難も起きます。私もオンラインで購入した商品や日本から送られてきた荷物などが、過去に何度か盗まれています。宅配便業者は「配達済み」の記録があると主張するだけで責任は一切とりません。注文した荷物が届かないなあと思って調べると、すでに受け取り済みになっていたなんてことは日常茶飯事なんです。

 最近ではオンラインショッピングで購入すると、到着予定日をメールで知らせてくれるサービスもできてきたので、こまめにチェックすることができるようになりましたが、それでも予定通りに荷物が届かないこともたくさんあります。

 対応策として、アパートのロビーには「配達の荷物はここには置かずに個々の部屋のドアの前まで持っていくように」と警告文が張られていますが、忙しい時期にはそんなことお構いなしです。 

 先進国とは思えない宅配事情ですが、西から東まで飛行機で6時間もかかる国土が広いアメリカではいた仕方ないことなのかもしれません。

 日本のように、要冷蔵商品をクール便で発送できたり、空港に到着してすぐに宅配便でスーツケースを自宅に送ることができたり、コンビニで気軽に荷物を出せるなんて概念はこの国には存在しません。日本に住んだことのあるアメリカ人の誰もが驚くことのひとつが日本の宅配便だと言われるのも納得していただけますよね?!(ロサンゼルスから千歳香奈子、写真も)

配達員向けにロビーに張られた警告文ですが、ほとんど無視です
配達員向けにロビーに張られた警告文ですが、ほとんど無視です