「東北、がんばっぺ、福島がんばっぺ」。東日本大震災から4年と1カ月が過ぎた4月中旬、福島を訪ねた。ちょうど広い県内を、桜が北へ駆け上がるように咲き始めていた。

郡山から会津若松に新車両「フルーテァ」が走りだし、白虎隊の「鶴ケ城」も50年ぶりのリニューアル。GWの来客を心待ちにしている。花が山から降ってきたように咲き乱れていた。新幹線福島駅を降り、バスで15分も走っただろうか。

まるで、お花のパッチワーク「花見山公園」
まるで、お花のパッチワーク「花見山公園」

 「花見山公園」。花木農家の山を、そのまま無料で観光客に公開したものだが、東京ドーム1個ほどの山に、春の花が咲き誇る。

 写真家・故秋山庄太郎氏が毎年のように訪ね「福島に桃源郷あり」の言葉ですっかり有名になった。「お花見の山」である。

 遠くからみればピンクや白、黄色のパッチワークのようであり、近くによれば、サクラ、ハナモモ、モクレン、ボケ、菜の花。それぞれに花の名があり、それぞれきれいな顔で咲いている。うれしいことに、サクラの枝木の無料プレゼントもしていた。

 そして目を遠くむければまだまだ残雪の吾妻連峰。白い雪に抱かれ、ピンクに染まりはじめた福島の春はみごとに美しい。

 「5月の連休ですか? まだ八重桜が残っているかな…。もしかしたらツツジの時期なっているかもしれません。でも、散った後のサクラもまた美しいですよ。ただ、お休みの日は道が歩けないほどの人になりますけど」(福島市観光課)。

 「この花の名は?」「これは?」「あれは?」。

 厚顔無恥ですみません。花の名前をガイドさんに次々に教えてもらって訪ね歩く。ひとつ教えてもらう度に、心にも、ひとつ春が咲いていく。

<郡山から会津若松へ新車両「フルーティア」>

郡山から会津若松へ週末に走り出した新車両「フルーティア」
郡山から会津若松へ週末に走り出した新車両「フルーティア」

 郡山の駅で、試乗したのがJR東日本が4月25日から週末に会津若松まで走らせる「走るカフェ列車」「フルーティア」である。

 車両2両をカフェ風にリニューアルし、乗車中にオリジナルのフルーツケーキやコーヒーが楽しめる。(セット料金内)。

車内では、地元のフルーツをつかったケーキが
車内では、地元のフルーツをつかったケーキが

 2両のうち1両は2人がけと4人がけのボックスシートで全席指定。もう1両へ移るとバーのカウンターになっていて。自由に利用できる。日本酒、ワインもそろっている。

 クリーム色のシート。会津塗りをイメージさせる黒と茶色を基調とした内装の高級感。ゆったりとおしゃれな旅。普通なら、1140円の運賃が、この特別車両に乗るには4200円かかる。

会津塗りをイメージした豪華室内でリラックス
会津塗りをイメージした豪華室内でリラックス

 「今、団塊の世代や、定年退職された後のお客さま。それに若い女性客は、ちょっと高級感のある旅にニーズを求めている。今回の列車は、特に『おもてなし福島』のイメージ車両として提案してみました」(JR東日本広報)と言う。

 時間にすれば1時間10分ほど。車窓の景観も、車内の豪華リラクセーションから、ゆったりと楽しめた。

<お出迎えはコスプレで「鶴ケ城」>

鶴ケ城ではスタッフがコスプレでお客さんを迎えていた
鶴ケ城ではスタッフがコスプレでお客さんを迎えていた

 最後に鶴ケ城のリニューアルの話。こちらは1874年(明7)に取り壊され、1965年(昭40)に天守閣が再建。それからちょうど50年という今年、この4月1日から天守閣内を大幅に変えてお客を迎え入れている。

 中でも、目玉が歴代の城主の紹介展示。その兜(かぶと)が一堂に並ぶのを見ながら、会津の殿様たちの変遷を学ぶことができる。

 また、城外では自由市「十楽」の再現で、南蛮小屋の出店が並び、時代衣装をまとったスタッフが、週末は観光客を迎えてくれる。

 そういえば(忘れてならない…)、会津は米どころ、酒どころ。今回の旅でお世話? になった日本酒は「泉川」そして「写楽」。特に「泉川」は、グイグイ飲める飲み口の良さで酔い心地を誘う。ただ「なかなか手に入らなくて。高い」とか。

 新しくなった鶴ケ城もお花のライトアップが5月6日まで。散り急ぐお花の下で、うまい会津のお酒をグビリ…。是非に是非に。