第2回磯メジナ伊豆半島ダービーが2月28日、閉幕した。2014年12月1日から90日間、伊豆半島3地区を舞台にして、昨シーズンよりも8人多い79人がエントリーした。メジナ3匹の全長の合計で審査。優勝は前回5位だった戸原直さん(56=東伊豆町)が128・2センチを約2カ月守り続けて逃げ切った。トップ3が5ミリ差の中でひしめいたダービーを振り返る。

 戸原直さんが首位に立ったのは昨年12月27日だった。大瀬「倉の下」から青島に渡り、43・9センチ(重さ1・38キロ)を釣り上げた。すでに同19日に42・5センチと41・8センチを釣り上げており、合計128・2センチ。断トツだった。

 青島は沖に離れるにつれ浅くなる磯場で、エサ取りのフグを沖にコマセをまいて引き離して、足元のメジナを深場から引き抜いた。

 「トップに立つのが早すぎた。昨シーズンは131・2センチで優勝だった。45センチ超がほしくて、ハリスをいつもの1・7号じゃなくて、大物が食っても対応できる2号に変えた。結果、記録を更新できなかった。いつ、追い付かれるか、この2カ月は不安ばかり」と戸原直さんはひと息ついて「メジナ釣りは難しいね。優勝はうれしいけど、いろんなことを考えましたね」と勝者となって複雑な表情をみせた。

 1月は強い西風でほとんど船を出せなかった。2月になり、週末ごとに海が落ち着いてきて、参加者の熱も上がってきた。2月20日、石廊崎「橋本屋」から大根に渡った鈴木章浩さん(46)が40センチ超を3匹ゲット。そのうちの44センチ(重さ1・5キロ)はウネリがおさまった直後をついて釣り上げた。3匹の合計で戸原さんに5ミリ差と肉薄。鈴木さんは「3日前まで潮温は13~14度だった。それがこの日は一気に16度まではね上がって、魚が動いてくれた。ダービーは初参加ですが、これ、面白いですね」。

 その翌21日、同じく大根に乗った原拓也さん(26)が45・8センチ(重さ1・6キロ)をキャッチ。この日は39・5センチも釣り上げて、合計で鈴木さんよりも1ミリ上回り、トップには4ミリ差。「昨年まで海のない長野・松本市に住んでいました。伊豆の海にあこがれて、転職して厚木市に引っ越した。ダービーに出て準優勝ですか、達成感あります。でも、40センチを釣っていれば、優勝だったのか…来年、頑張ります」と瞳を輝かせた。

 4位の木曽照起さん(46)は、大瀬でエントリーして、風向きなどを考え1月下旬から雲見「佐市丸」に出入りするようになった。2月21日はブダイ島に渡って、43・5センチを釣り上げた。「友人らと釣りにきていましたが、通常の釣りよりダービーは気合が入る。来季も楽しみ」と笑顔。

 5位の大沢雄一さん(42)は、昨年10位からランクアップ。「ダービーは一発勝負じゃないから、自分のやりたいことを試しながら勝負できる。そこが面白いですわ」と話した。6位の新井郷平さん(27)は「初参加です。いろんな大会に出ていて、各大会の上位の人がランクインしてくる。刺激になるしワクワクしました」と振り返った。

 佐市丸の鈴木佐利代表は「今回は西風がすごかった。ダービー90日間で船を出せたのは20日間だけ。でも、多くの方々においでいただいた。本当にありがたい。会期をあと1カ月延ばすことも考えたい」と話した。春メジナはここからが本番、ダービーの熱気が残る伊豆半島はまだまだ面白いぞ。【寺沢卓】

 ◆賞 ダービー覇者の戸原直さんには、賞状と優勝トロフィー、副賞が贈られる。準優勝から10位までの上位者にも記念品が渡される。また、15、25、35、45、55位にも「飛び賞」が贈られる。

<磯メジナ伊豆半島ダービー上位成績>

 (1)戸原直 128・2センチ(2)原拓也 127・8センチ(3)鈴木章浩 127・7センチ(4)木曽照起 126・5センチ(5)大沢雄一 125・1センチ(6)新井郷平 125・0センチ(7)小松和則 124・3センチ(8)紫葉繁 123・0センチ(9)唐沢淳一 122・7センチ(10)戸原万里子 122・3センチ ※敬称略