埼玉・円良田(つぶらた)湖の梅雨ベラは浅ダナ勝負! 気温も少しずつ上昇し、ヘラブナも湖面近くまで姿を見せてきた。長いサオでじっくり遊ぶのもいいが、10~14尺(約3~4・2メートル)の“ショートゲーム”も面白い。「ヘラブナ道場」では2日、同湖で実技向上を目的とした「上達クリニック」を開講した。初心者を含む4人が参加し、それぞれが「納得のアタリ」に出合うことができた。

 雨はやまない。厚い雨雲が円良田湖の上空を支配していた。梅雨のヘラブナ釣りだ。

 底付近ではなく、湖面直下のタナ(魚の回遊層)を狙ってみる。大関実コーチの知人の川野貴洋さん(36=千葉市)が道場の門をたたいてきた。「釣り経験は、小学生のときに学校の先生からブラックバス釣りを教えてもらったけど、結局1匹も釣れなかった。そのぐらいで今回、魚がどう釣れるのか、楽しみです」と川野さんは目を輝かせた。関川康夫師範代ががっちり指導することになった。

 今回は2日に「上達クリニック」として、出張道場を開くことになり、同湖で募集し、3人の経験者が参加。川野さんは前日の1日からヘラ釣りの基本をたたき込まれた。

 師範代 エサは浅ダナの場合、リズムよく次々に打つ。2通りのエサがあると思ってもらえたらいい。すぐにバラけて魚を集める「寄せ」と、集まった魚をヒットさせる「食わせ」。これ、大事だよ。

 とにかく勝負は手返しの速さだ。川野さん、工夫した。ハリに付けるエサをあらかじめまとめて、10個ほどつくっておいた。

 師範代 エサは繊細。丸めた瞬間から酸化される面が多くなって、劣化していく。両ダンゴだから、予備は次の2つだけでもいい。なるべくフレッシュな状態を保たせるのも技術だ。

 この日は釣況が良かったのか、川野さんは開始10分でヒットしてキャッチ。人生初で釣った魚はヘラになった。続いて3匹を立て続けに釣りあげた。

 2日、雨は降っていない。相変わらず雲は頭上。ただ、湖は違っていた。

 大関コーチ 釣り人が多いのもありますが、ヘラが本気にならない。エサ打ちを多くするといい。ウキがなじんで、すぐにアタリがなければ次を打つ。このテンポです。

 門下生の永瀬洋さんはサオが11尺(約3・3メートル)、中村豪さんは12尺(約3・6メートル)。普段は18尺(約5・4メートル)の底釣りか深い宙釣りで、浅ダナは不得意だ。最初はじっくり待っていたが、魚の「寄り」を感じず、大きなエサ付けを速いテンポで繰り返すと、1時間後に連発。自分のポイントをつくることが重要なのだ。

 川野さんの2日目は苦戦。初日に使っていた13尺でしばらく続けていたが、反応なく11尺に替えた。

 師範代 こりゃ、思い切り深くするか、浅くするか。ヘラが浮いてくる時期でもあるので、浅い方を選んでみた。テンポよくね。

 エサは「開くパターン」で練り込まずにハリに大きく付けて、ウキがなじんだらすぐ上げる。そしてエサを打ち込む。すると、ウキが動き始めた。ここから練り込んで、小さくハリに付けてアタリが連発した。

 川野さんは「初日は意味も分からずに“釣れちゃった”けど、2日目は理屈がわかって“釣った”イメージ。また、機会をもうけてサオを握りたい」とニッコリ。梅雨の円良田湖、浅ダナで勝負しましょうね!

 ▼エサ 配合は好みだ。「開くパターン」はヘラの寄せを重視。ウキに反応が出てきたら、練り込んで小さくハリに付ける。「持ちのよいパターン」は「粘麸(ねばふ)」を加えることで、ハリにエサが残って、ヘラに食わせることを意識している。この2つのパターンをベースに自分で配合を考えてみよう。

 ▼宿 埼玉・円良田湖管理事務所【電話】048・581・8511。入漁料金800円(放流バッジ所持の場合600円)、桟橋利用料は2100円、午前11時以降は1100円、女性・高校生までは800円。ボート料金は2800円(バッジ所持は2600円)。出舟は4月1日~8月31日午前5時30分、9月1日~3月31日同6時30分が目安。販売は管理事務所にて。なお、購入前の場所取りは厳禁。