復活の榛名湖(群馬)のワカサギ釣りが、1000匹を突破した。県から持ち帰り自粛の要請を受けていたが、今年7月から1カ月にわたる検査の結果、解除。1日から4年半ぶりに釣りが再開され、ワカサギを持ち帰れるようになった。仕掛けを投入すれば、すべてのハリに掛かる魚影の濃さ。神奈川・箱根の噴煙騒動で客足の減少した芦ノ湖のワカサギ釣りも絶好釣。空バリで釣れちゃう2地区をリポートする。

【群馬・榛名湖】

 1日、榛名湖には約50隻のボートが浮かんでいた。2011年3月、氷上のワカサギ釣り以来の光景だった。「雨が降ってるのにこれだけ集まってくれた。本当にありがたい」とカフェテラス・エヴァの江原健代表(41)は瞳を潤ませた。カフェテラス・エヴァでは、この日だけで1110匹を記録した常連もいた。

 落とせばプルルン、と仕掛けが底に着く前から反応した。水深7~8メートルの浅いエリアにボートが横一線に並んだ。湖上は白く霧でけむっていた。休む間もなく、サオが上がり、ハリに掛かったワカサギがキラキラと輝いていた。

 エサは、白サシを使う釣り人が多かったが、タコボウズ記者は、あえてエサを付けずに空バリでチャレンジ。ハリに白い糸が飾りでついたタイプで、水中でワカサギにアピールするもの。14本バリで、底から1メートル浮いたところで、サオ先がギュンギュンと音をあげて上下した。かなり魚影は濃い。しばらく放っておいてから、道糸を巻き上げると、14本すべてにワカサギが掛かっていた。スゴい。

 サイズは5~8センチ。「午前8時までは水深8~10メートルの底付近で10センチぐらいのが掛かったけど、8時以降はピタリと止まった。朝ドラでも見てるんじゃないか?」と釣り人からは冗談も漏れた。

 水深7~8メートルならどこでも釣れる。ビギナーでもエサなしで楽しめるので、お手軽だ。ただし、ハリの数は5~7本前後の方が、手返し(釣れた魚をハリから外して、再び仕掛けを投入する動作のこと)が迅速にできる。このペースが続けば、来年の氷上の穴釣りも期待できそう。4年半ぶりの歓喜を味わえて、誰でも釣れちゃうワカサギ。釣ってみませんか?【寺沢卓】

 ▼東日本大震災以降の榛名湖 2011年冬に全面結氷して、穴釣りを実施して以来、榛名湖のワカサギは持ち帰れなくなった。最盛期で9~11月のボート釣りで1500人、1~3月の穴釣りで約2万人が訪れていた。同年3月に発生した震災で、福島第1原発で事故発生。東風に乗って、放射性物質が広く飛散し、榛名湖にも到達した。

 毎年9月1日に開幕する榛名湖のワカサギ釣りだが、11、12年と放流はするものの、なかなかふ化できずに魚影が見当たらなかった。ワカサギの卵を替えたところ、コンディションが合致したのか、ワカサギが採取できた。放射性物質検査をすると、セシウムが最大で1匹から340ベクレル検出された。国の指導を受け、県は榛名湖漁協に対して釣ったワカサギの持ち帰りの自粛要請を通達した。この4年半、放流は継続してきたが、釣ったワカサギを食べることはなかった。

 今年7月から8回にわたって、放射性物質の残留調査をしたところ、ワカサギ1匹から20~64ベクレルの数値が検出され、あきらかに低下し、自粛要請の解除につながった。今後、県蚕糸課水産係では「週2回の検査を継続し、様子を見守る」。

 ▼ボート 榛名湖「カフェテラス・エヴァ」【電話】027・374・9525。ワカサギ釣りは入漁料700円。手こぎボート2人乗り3000円。ペダルボート3人乗り3000円。レストランでの人気1位は榛名ポークのカツカレーライス(900円)。

【神奈川・芦ノ湖】

 今年4月、大涌谷付近で噴火の兆候がみられ、大きく白煙が立ち上った。大涌谷を経由する強羅-桃源台のロープウエーが安全のため、営業を停止。「1個食べると寿命が7年伸びる」とする名物の黒卵も販売停止となった。観光客でごった返すはずの芦ノ湖・湖尻地区も閑散とした夏だった。8月下旬から「ワカサギが釣れ始まった」との地元漁協の情報もあり、8月29、30の両日、希望者を募って出漁した。

 芦ノ湖は、エサなしの「空バリ釣法」がスタンダード。エサを触るのが苦手な人にとっては好都合だ。午前中ならば、船宿の並ぶ湖尻沖で十分釣れる。午後からは回遊のスピードが速いため、魚群探知機を持っていると便利だろう。

 この日参加した元AKB48のタレント佐藤由加理(26)は「初めてのワカサギ釣りでしたけど、一気に掛かる瞬間の爽快感はたまりません。チョー面白い。この秋のオススメです」と笑顔をみせた。

 ▼宿 芦ノ湖湖尻「うえ乃」【電話】0460・84・8471。入漁料は1300円(中学生以下は無料)。ボート2人乗り3500円(半日なら3000円)。遊漁時間は日の出から日没。