笑顔の初優勝だ。「2015日刊スポーツ・フィッシング・サーキット」アユ釣り大会が20日、静岡・興津川で開催され、80人が参加して大盛況だった。実釣2時間半の決勝戦では10匹で2人が並ぶ大接戦。総重量432グラムを記録した野崎洋美さん(55=山梨・上野原市)が初制覇した。準優勝は10匹(346グラム)で地元静岡市の小林洋二さん(54)、3位には金沢辰巳さん(50=山梨・大月市)が8匹で食い込んだ。

 55歳になって5日目、興津川アユ王者になることで、野崎さんは自分のバースデーをお祝いした。

 アユ釣りは25歳からなので、キャリアは30年ちょうどになる。仕事が休みになる、土日・祝日にしかサオは握らない。地道にコツコツ、それでも川に思いをはせて、アユのことばかり考えて過ごしてきた。大きな大会での優勝はこれが初体験で「念願がかないました。本当にうれしいです」とにこやかに笑った。

 今回の優勝には、1年前からの布石があった。

 昨年の大会でも予選を突破して、シード4人を含めて決勝進出した25人に残った。上流と下流を1時間ずつ釣って、その合計匹数で競う「通常ルール」だったが、釣果ゼロで終わった。

 野崎さん 昨年は中途半端でした。歩いて30分の和田島でやりたかったんだけど、移動時間を気にして別の近場でやって、何もできずに終わった。悔いが残りました。

 今年は、前日19日午後に到着して、川見しかしなかった。車で移動して、上流から下流までくまなく観察して「和田島がいいなぁ」と感じた。試合当日、決勝は「移動なし」「2時間釣りに専念」との発表を聞いて「和田島しかない。歩こう」と心に決めた。

 予選は苦手な上流で、なんとか8匹ギリギリで通過できた。和田島まで30分かけて歩いた。郵便局下に入った。キャンプ場が近くにあり、子どもらが水遊びでバシャバシャ。その子どもらに離れるでもなく近づくでもなく、逃げてきたアユを次々にキャッチした。

 野崎さん 思う存分、昨年の分まで釣りができた。特別ルールに助けられた。ただ、子どもらと追いかけっこをする感じだったので、釣るポイントもあっちこっち(笑い)。おかげで、帰りの30分の歩きはフラフラで帰着時間をオーバーして失格になるんじゃないかとハラハラでした。

 念願の興津川での優勝。野崎さんは「この川は大きくはないけど、アユの引きが強い。水もきれいで、景観も楽しめる。なにしろ、釣ったアユがうまいので大好き」と興津川を大絶賛して「来年も頑張りますか」と連覇に向けて意欲をみせた。【寺沢卓】

 ▼ルール 予選に参加した76人が抽せんで大会本部のある大網のつり橋を境にして「上流」と「下流」に分かれる。午前8時から3時間競釣。それぞれ上位5位タイまで決勝に進出。

 決勝では昨年1~3位とあこがれ亭推薦の計4人がシードとし参加。上流から7人(1人棄権)、下流から5人が決勝進出。

 通常決勝戦は2時間。上流と下流に分かれて、1時間ずつ釣る。つまり、前半で調子が良くても後半でボウズ(釣果ゼロ)ということも珍しくない。

 今回は、大会前日までの大雨もあって、釣況は安定していなかった。そこで、入川順の抽せん後、午後0時30分から2時間、上流と下流の移動も撤廃し、同じ場所で釣りに専念できるようにルール変更。帰着も午後3時までとして、帰りの移動時間を30分設けた。

 ▼釣りの問い合わせ 興津川「あこがれ亭」【電話】054・393・3814。興津川非出資漁協【電話】054・393・3894。