いいサイズのメジナと正面から対決する。決して爆釣とはいえない。しかし、簡単に釣れないからこそ、楽しいのだ。日刊ペン・クラブの磯アングラー、鵜沢政則さん(64)が南伊豆・大瀬でサオを出してきた。「伊豆半島磯メジナダービー」(3月31日まで)も佳境に入ってきた。難敵を釣り上げるコツをお伝えしよう!

 潮温が急激に低下してきた。14度台だ。私が乗った磯は牛ケ瀬の先端部。大瀬「倉の下」(山本良一代表)から渡してもらった。18日のことだった。前日17日まで強い西風が吹いていたが、この日はなんとべたナギ。ついている。

 そろそろ小型から良型メジナをじっくり狙うシーズンだ。今季序盤は潮温が高く勝負できなかった。1月中旬から強い西風が吹き、ようやく、ようやく寒メジナが本番を迎えたようだ。

 牛ケ瀬は、ほぼ周りがポイントだが、この日は朝のうち北東風だったため、西(石廊崎側)に向いたほうを攻めることにした。

 コマセをまき始めるが、足元にほとんどエサ取りは見えない。数回仕掛けを入れると付けエサがない。

 犯人はフグ。

 今季は場所と日によってフグが移動しているらしい。小型メジナやスズメダイは水面下に見えない。東からの風がやや強くなった。釣り座は風を背に受けているので仕掛けは投入しやすい。足元にコマセを入れて遠投、そこで1発目の35センチがきた。

 幸先はよかったのだが後が続かない。コマセが引くにしたがってフグも広がってしまう。1時間ほど我慢したが、東向きの風潮ぶっつけのポイントに移動した。

 コマセをして仕掛けを入れるとエサが残る。様子を見ながら数投後、ラインがスーと引かれたので合わせると、グッとサオに乗ってくる。ギュンと満月に曲がる。上がってきたのは37センチのふっくらとした寒メジナだった。

 まだ裏で釣っていた同じくペン・クラブ飯村健治さん(53)を呼んだ。飯村さん、すぐゲット。35センチ超。潮温が下がったせいか、小型は動いていないようだ。

 この日の牛ケ瀬は西に流れる上りの潮がゆっくりと流れていた。この時期のコンディションとしてはまあまあ。その後、仕掛け投入を繰り返しているとこの日最大の39センチがヒット、足元のハエ根際を走り回って、てこずらせたが無事ランディングできた。

 これが続くと思ったが、コマセを入れているとまたもやフグがこっちにも寄ってきた。そこで今度は仕掛けをあっちこっちに入れて付けエサが残るところを探して、残ったらそこに再投入。するとそこでヒットしてくる。フグと追いかけっこであるがこれも作戦。エサ取りを嫌がらず、積極的に攻める方がモチベーション的にも楽しいのだ。

 結局、この日は39センチを頭に30センチまでのメジナを7匹釣り上げた。時期的に入れ食いはない。渋い食い方をするメジナを1匹ずつ丁寧にしつこく攻めて狙うのが寒グレの面白さ。ああだ、こうだと考えながら釣り場に合わせて仕掛けを替えて1日5~10匹が面白い。釣れ過ぎてもダメ。かといって釣れないのはもっとつまらない。メジナは目の前の水面下にいる、そう思ってあの手この手と攻めて食わせるのが寒グレ釣りのだいごみである。

【ワンポイントアドバイス】

 ◆アタリはラインで 寒メジナは水温が低いので神経質。ちょっとラインやウキに抵抗を感じるとエサを離しやすい。穂先でアタリをとるのではなくアタリはラインでとるほうがベター。緩んだ状態でラインを送り出すことを心がける。

 ◆じっくり沈める 仕掛け(付けエサ)がタナ(魚の泳層)まではいってなおかつ自然に漂わせられる仕掛けを使う。ハリスは長め。重いガンダマは付けエサの近くには付けず、自然な感じで付けエサが漂うようにする。D-SUS系の二段ウキが有利。じっくりゆっくりと沈めよう。

 ◆比重の重いコマセ  時期的にメジナが浮かないので、コマセはやや比重の重いものを使うほうが有利。私はオキアミと同比重のダイワ「フカセ真鯛」と「遠投オキアミレッドSP」を混ぜて使っている。