産卵のため浅場にやってくる乗っ込みヘラブナを狙い19日、兵庫県三田市にある青野ダムを訪れた。ハタキ(産卵で水草やアシに卵を産み付ける行動)は本格的ではなかったが、単発で見られ、魚影も浅場で確認できた。春独特の水深数十センチの浅場での両グルテン底釣りで、午前11時から午後6時までに36~42センチを10匹釣りあげた。

 午前9時に到着し、小規模なワンドや川の流れ込みなど、乗っ込みが見られそうなポイントを回る。下青野公園をのぞくと、コイなどに交じりヘラらしき魚影が浅場で確認できた。中でも魚の通り道になりそうなポイントを見つけ入釣。単発でハタキもある。もう少し本格的にハタいていれば最高だが、今年初の乗っ込みで気持ちは高ぶる。用意を済ませ親指の爪ほどのグルテンを打ち込む。水深は約50センチ。1投目からフワフワと弱い動きやヌッと横にウキがブレる糸ずれの動きが出る。ヘラは間違いなくエサの近くにいる。

 だが、なかなかエサに興味を示さず、時間だけが過ぎる。エサ打ちから1時間半、弱いサワリが続きズバッと2節ウキが入る。合わせると水面から飛び出たヘラが水草に突っ込む浅場ならではのスリリングなやりとり。サオを寝かせ水草を避けながら多少強引に引き寄せたのは、38センチの体高のあるヘラだった。弱い動きの中の鋭い食いアタリを選ぶ選球眼も、この釣りでは必要だ。さらにズバッとアタり36センチを追加した。

 その後サワリはあるが決めアタリが出ないため、針を13号から9号に替える。ヘラがエサを吸い込みやすくする作戦だ。これで明らかにサワリ、食いアタリが増えた。マブナが多いが3匹に1匹の割合でヘラが来る。ある程度エサを打てば後はヘラが回遊し、立ち止まるようなパターン。サワリがあれば数分食いアタリが出るまで待つ。ムダなアタリに手を出し引っかけると、浅いので寄ったヘラはすぐに散る。スローな展開がベスト。サワリが何投も続けばグルテンに手水を打ち変化をつけ食わせる。ここまで良い意味でやりとりに気を使ったのは久々だ。

 薄暗くなり始めた午後5時にはハタキもあちこちで見られ、毎投何かしらの動きがウキに出る。ラスト1投でこの日最大の42センチが釣れ、今年初の乗っ込みは気持ち良く納竿となった。【日刊FPC・土屋直人】

 【今後の見通し】まだ大規模なハタキは確認されていないが、数日でハタキに入るような動きをしていた。暖かい日が続いた後の雨や大潮の日が狙い目。この時期はポイント選択が重要。水深1メートル以内のアシや水草などがある所がポイント。中でも回遊ルートやヘラが止まる所が好ポイントになる。基本は両グルテン底釣りだが、マブナやジャミが多ければマッシュ系に替える。サオはアシなどのキワを狙うため長さを使い分ける。7~13尺まであれば良い。サオ、糸、ハリ共にしっかりとした丈夫な物を選択したい。

 【交通】大阪からは中国自動車道・吉川JCTで舞鶴若狭自動車道へ。三田西ICを出て、三田西インター前の信号を左折。県道92号を東へ走り、溝口の信号を右折。広野駅前の交差点を左折。JR福知山線の踏切を越え、上井沢の信号を直進。同308号で青野ダム(千丈寺湖)へ。