産卵期に入った良型のチヌを狙って3月29日、和歌山・湯浅の磯へ釣行した。同所の「かるも丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)の船で早朝からヨコガルモの穴口西へ渡礁。しかし、大型のカンダイなど外道のアタリが多く苦戦。午後からタテガルモの落込へ磯替わりすると、浅瀬のシモリ周りで活発なエサ追いが見られ40、48センチの抱卵した本命をゲット。乗っ込みチヌならではの重量感ある強い引きを楽しむことが出来た。

 午前5時半すぎ、栖原港を出船。佐藤祥多船長の勧めで、ヨコガルモの穴口西へ渡った。早速、西向きの先端に入り釣りを開始。

 しかし、水温が14度台と低く、潮もほとんど動いていない。そのため、せっかくポイントを作ってアタリを引き出しても、サオを絞り込むのは50センチ級のカンダイやイラがほとんど。「この状況では、本命チヌの活性は上がらない」と判断し、午後1時すぎにタテガルモの落込へ磯替わりした。

 この場所は、20~30メートル沖のシモリ周りを狙う浅瀬のポイントで、まずはウキ下を3ヒロからスタートする。まきエを5杯ウキの頭にポンポンとかぶせて刺しエのオキアミと同調させながら仕掛けを流し込む。

 30分ほど経過すると、まきエが効き始めたのかウキの周りを数匹のボラが回遊する。「なんか、食いそうやで」と思っていたら、赤いトップがシモリの中央部分に差しかかるとスパッと勢い良く海中へ。反射的にサオを起こして合わせを入れると、ガツーンとした手応えが手元に伝わって来た。

 強烈な締め込みに、2度3度と道糸を送ってサオの角度を修正する。一気にラインを巻き取り磯際まで寄せたところで、強引にタモに滑り込ませた。48センチのポッテリと抱卵した乗っ込みチヌだ。

 そして、下げ潮に合わせてウキ下をさらに2ヒロと浅く調整し、シモリの真上に仕掛けを投入。足元に突いて来る潮に乗せて流していると、シモリの落ち込みに差しかかった辺りでウキがジワジワッと海中へ引き込まれた。「アタリか?」。半信半疑で手首を返すと、ゴンゴンと頭を横に振るチヌ特有の引きが返ってきた。水面に横たわったのは40センチの本命だ。

 さあこれから…というときに、肝心のまきエがなくなってしまった。同4時、後ろ髪を引かれながらの納竿となった。【日刊FPC・兵頭良弘】

 【エサ】まきエ=生オキアミ6キロに「チヌパワームギスぺシャル」「爆寄せチヌ」「ニュー活さなぎミンチ激荒」各1袋ずつを混ぜ合わせたものを使用。刺しエ=「くわせオキアミスーパーハード(L)」と「ガツガツコーン」を用意し使い分けた。

 【今後の見通し】湯浅湾での乗っ込みチヌは、これから本番を迎える。水温の上昇とともに、年無しクラスがまじり数、型ともに期待出来るだろう。

 【問い合わせ】「かるも丸」【電話】0737・62・3527。渡船料は4000円、弁当700円。他に「なぎ丸」【電話】同・62・3891もある。

 【交通】電車はJR紀勢本線の湯浅駅下車。タクシー利用約5分。自動車は阪和自動車道の有田ICを出て国道42号線を南下。湯浅交差点の信号を右折(かるも丸看板あり)道なりに進むと栖原港へ。