歓喜の3度目Vだ。「2016年度がまかつへらぶなチーム対抗戦西日本大会」(主催・(株)がまかつ)が4月29日、滋賀県甲賀市の「甲南へらの池」で行われ、97組194人が参加、2人1組で釣ったヘラブナの総重量を競った。1、2回戦で6時間を戦い、前日の雨と急激な気温低下の影響で食い渋る中、矢野満選手(枚方市)と麻野昌佳選手(羽曳野市)のベテランコンビが、総重量27・7キロで、09年以来7年ぶり3度目の優勝を果たした。

 厳しい寒さと食い渋りの“我慢比べ”に、豊富な経験と技で耐え切った。7年ぶり3度目の頂点に、麻野選手は「うれしいです。この悪条件下で頑張ったと思う」と笑顔を見せた。

 2人1組で3時間×2回戦の戦い。前日の冷たい雨に、この日急激に気温も下がったため、ヘラブナがなかなか口を使わない。例年なら、この時期のヘラは活性が高く、あちこちでサオが曲がる。1回戦で10キロ上限のフラシを10人前後が交換する姿も珍しくないが、今回は1、2回戦で2人だけという悪条件だった。

 そんな中でも、2人は冷静だった。麻野選手は「こういうときは、自分の得意な釣りをするしかない」と切り替え、3号桟橋の事務所向き中央付近に入った1回戦は、思っていたより魚に動きがあったこともあり、カッツケのセット釣りで9・5キロを釣りあげた。午後からは不利といわれる固定桟橋に入り苦戦したが、一投ごとにエサのタッチを微妙に変えながら、少ないアタリを拾って4・7キロ。

 一方、矢野選手もカッツケのセットで挑んだが、前半は6・8キロ止まり。2回戦はチョウチン釣りに変更し、バラケの配合を変えた。食わせエサも魚の気配のあるなしで臨機応変に使い分けた。強風が吹き午前中以上に厳しい状況で、風裏の2号桟橋事務所向きに入る運も生かして6・7キロ。シビアな戦いとなったが、1回戦で僅差の2位につけていた矢野・麻野組が、コンスタントな釣果でわずかに抜け出し、競り勝った。自分たちも勝てると思わず、名前を呼ばれて驚いた。

 この大会は07年に初優勝して以来、これが3度目の優勝という強豪コンビ。08年のG杯ヘラ優勝者でもある麻野選手は「チーム戦は、お互いにカバーしながらやる面白さがある」とその魅力を語る。もちろん、来年も2人で出場し、狙うのは連覇&4度目の優勝だ。【高垣誠】

 優勝した矢野選手 久々の優勝でうれしい。苦しい展開でしたが、くじけずにやれた。

 ◆1968年(昭43)5月18日生まれ、47歳。枚方市在住。ホームは「甲南へらの池」。「アスリート」代表。

 優勝した麻野選手 昼からは我慢の釣りだったが、集中力を切らさず1日通せたのが大きい。

 ◆1968年(昭43)2月7日生まれ、48歳。羽曳野市在住。ホームは「水藻フィッシングセンター」。「浪花釣友会」所属。