東伊豆のイサキ、爆釣の予感だぜ! 釣りを人生にたとえる「アニキ」こと俳優哀川翔(54)が11日、熱海「喜久丸」で、今季のイサキの調査に乗り出した。来月12日、恒例となったイサキ釣り大会が、福浦「恵一丸」との合同で開催される。その様子を探るため、猛爆の嵐の中、ウグイス色のニクいヤツを狙ってみた。

 音もなく薄いレースのカーテンが舞い落ちてくるような雨。そんな6月の天気に似合うのが、東伊豆のイサキだ。梅雨イサキとは、先人はよく言ったもんだ。魚は寒い時期に冷たい海水に対抗して脂をまとう。でも、ウグイス色をしたイサキは白くけむる梅雨に脂をたくわえる。

 面白いね、面白い。季節によって魚も姿を変えていく。そのイサキを求めて、熱海伊豆山港にやってきた。ただし、この5月11日は嵐だったけどな。

 実は、福島・小名浜港でマゾイや沖メバルの釣りをしようとたくらんでいたんだが、この低気圧だ。太平洋側はすべてアウト。出る船はない。東京湾も東京湾アクアラインが通行止めになって、東京湾フェリーも欠航になるぐらいの荒れ具合だった。

 でも、熱海なら、ちょっと南下すれば、南西風であれば陸地が「ついたて」になってくれて風裏ができる…はず。そんな思惑もあって、イチかバチか、熱海伊豆山港「喜久丸」に移動した。

 「まあ、なんとかやってみますよ。8時半過ぎの様子次第ですね」と松本早人船長。ふふ、オレの釣り人の本能は間違ってなかったようだ。さあ、出船だ。

 風が強すぎると、波がつぶされて、海は真っ平らになるんだな。確かに荒れているが、うねりは厳しくない。それも松本船長の操船がいいんだろう。燃えてきたねぇ~。

 40分ほど走って、網代沖まできた。えっ、ベタナギだ。本当に風裏があるんだ。タナ(魚の泳層)は海面から12~15メートル、浅い。80号のコマセカゴにオキアミを入れる。ハリスは3号(6メートル)の1本バリ(マダイ8~9号)。風が強いから、絡む可能性のある2本バリは捨てる。仕掛けを投入して海面から20メートルまで落として、サオをシャクりながら5メートル引き上げる。

 オッ、なんだ、この強烈な引きは! イサキじゃないぞ。目が青い。メジナだ。沖のメジナ、いい勝負をしてくれる。ここから船中でメジナのヒットパレードが続いた。メジナ祭りだぜ!

 そんな中、意外なオトコがイサキを釣り上げた。オレの担当のタコボウズ記者だ。最初に釣ってどうすんだよ! と、ツッコミを入れたいところだが、なかなか興味深い釣れ方だった。オレの4匹目のメジナの写真を撮った直後、タコの置きザオが強烈にしなった。上げると39センチのデカイサキだった。タナはぴったり道糸を15メートル出していた。

 つまり、タナさえ合っていて、余計なアクションがなければ、イサキは反応する、ということになる。サオを手持ちから置きザオに切り替えた。案の定、きたぜ。イサキだ。「ここらのイサキはじっと待つ。あまりいじると逃げるみたい」(松本船長)。なるほど、「待ち」は転じて「攻め」になるのか。このあと、置きザオ釣法で、乗っていた全員にイサキがきた。

 魚は面白いな。魚種によって攻め方が違う。釣り人は単調になっちまったらダメだ。いろんな忠告に耳を傾けて、いろいろ試してみる。今回は調査なので早上がりをしたが、大きなイサキにいっぱい出会えた。今年の梅雨イサキ、期待できるな。6月12日、いい大会になりそうだ。【寺沢卓】

 ▼問い合わせ 熱海「喜久丸」【電話】090・5456・8449。6月12日のイサキ釣り大会は、午前5時に集合。参加費なども含んで1万3000円。沖上がりは午前11時。賞品には、アニキからの特製グッズも。通常営業は要確認。貸しザオは1000円。