ようやくスイッチ全開だ! 静岡・駿河湾のタチウオ釣りが、サイズと匹数でノリノリになってきた。大井川港「海政丸」(望月茂樹船長)では、深夜1時30分に出船して、朝8時過ぎまで釣り続ける「朝までタチウオ」の釣果がグングンあがってきている。さっそくサオを出してみた。

 駿河湾のタチウオ釣りは夜釣りが主流だ。深夜では海面から20~40メートルの浅いタナ(魚の泳層)でヒットする。楽チンなのである。空が白んでくるとタナは海面から70~80メートルに深くなるが、釣れるタチウオは1メートル級のドラゴンが目立ってくる。暑い8月に突入して、ようやくタチウオのスイッチが入ったようだ。

 12日に現地を訪れた。この取材、ちょっとしたギャンブルだった。望月船長と「夏の風物詩だし、上向きになったらすぐ取材しよう」と約束していた。

 ところが、タチウオに勢いがない。8月上旬に体長1メートル超、いわゆる「ドラゴン級」が姿を見せ始めていた。兆候はあるのだが、活性が伸びていかない。

 望月船長との電話会議で「もしかしたら、良くなるかもしれないし、モデルになるお客さんもいるからやってみよう」などとまとまって、ほぼ見切り発車で大井川港に向かった。

 真夏の怪談ではないが、この手のギャンブルは、あまり外したことがない。もちろん望月船長も「もうそろそろ、タチウオ祭りになるだろうなぁ」との、海の男独特の感覚は察知していた。やはり、駿河湾のタチウオは裏切らなかった。

 開始直後からサオ先が「ブルン、ブルブル」と激しく震えて、船上で次々にシルバーのサーベルのような輝きが闇夜を照らした。

 釣り方はルアー・フィッシングのメタルジグ(80~100グラム)、サンマの切り身を使ったエサ釣りも、オモリが120号の通常パターンと、60号のライトタックル(LT)が共存しながら、すべての釣法でヒットが連発した。絶好調だ!

 タチウオはかなりの数がいそうだ。ただし、合わせは超繊細だ。

 <1>タナの幅が狭い かなりのピンポイント。この日は水深50メートルでは、底から10メートル浮いたところでしか反応しなかった。底付近からゆっくりと巻き上げて広く探り、反応のあるタナを見つけ出してみよう。

 <2>無駄に動かない 大きくシャクってしまうと、なぜか釣れない。魚が驚いて散ってしまうようだ。望月船長は「置きザオにして様子をみるぐらいでいい」と話す。周囲を見渡すと常連のお客さんらは置きザオにしていた。そして、次々に釣り上げていた。

 <3>バレてもあきらめない サオ先のアタリから合わせても外れてしまうことがある。その場合、慌てず騒がず、ヒットした層まで仕掛けを落として、ゆっくりした動きで再チャレンジする。すると、またアタリがきた。サオの軟らかさでゆっくりとハリ掛かりさせていくといい。

 この日は65~100センチが、釣れた人で約40匹。クーラーボックスの中がまぶしかった。タコボウズ記者は取材をしながら、10匹釣った時点で終了とした。

 望月船長は「このタチウオは、まだまだいけそう。これからが夏タチの本番ですね」と話した。LTで釣るならば、そんなに力も使わずに楽しめるから、ビギナーや女性でもできますよ! 【寺沢卓】

 ▼宿 大井川港「海政丸」【電話】054・622・2116。集合時間は午前1時30分。出船前日の確認の電話は、午後7時から30分間。料金(氷付き)はサンマのエサ付き1万1000円、ルアーは1万円。