アユ釣りの釣技を競う「第40回G杯争奪全日本アユ釣り選手権」(主催=(株)がまかつ)が8、9日、岐阜県下呂市の益田川(飛騨川)で、地区予選を勝ち上がった64選手(シード、推薦含む)が参加し行われた。2日目の決勝戦は午前11時30分から6選手が2組に分かれて2回戦(各1時間)を戦い、廣岡昭典選手(安曇川)が、浅瀬で12匹(オトリ2匹含む)を追わせ、念願の初優勝。兄・保貴選手(安曇川)も3位に入り、G杯初の兄弟表彰台を実現させた。

 念願のG杯を、ついにこの手に収めた。優勝カップを手に、廣岡昭典選手は「記念の40回大会で優勝できて本当にうれしいです」と笑顔を見せた。それも、地区予選を1位突破、本大会の予選、準決勝も1位抜けという“完全優勝”のおまけ付き。さらに兄・保貴選手が3位に入り、G杯史上初の“兄弟表彰台”まで実現した。

 6人が2組に分かれて2回戦を行う決勝戦。渇水気味でアユの追いがいまひとつのうえ強風が吹き、釣りづらい状況。そんな中、昭典選手はヘチ寄りのアユの姿が見えた浅瀬に狙いを定めた。

 また、予選3回戦で、オトリを速く泳がせると掛かりが悪いことに気づき、ゆったりと泳がせるようにしてから調子が上がった。決勝でも同様の泳がせ釣りに徹し、前、後半ともに5匹ずつ追わせて計12匹(オトリ2匹含む)。混戦を抜け出した。

 4人兄弟の次男。子供のころからアユ釣りに親しみ、兄弟で技を磨いてきた。G杯アユでは、兄・保貴選手が03年に準優勝。自身は13、14年に3位。先に優勝したのは6回目の出場だった弟。優勝インタビューでは「兄より先に勝ってしまって申し訳ない気持ち…はないです。(シードで出場できる)来年は実力で勝ち上がってきてほしい」と笑わせたが、ずっと兄の背中を追ってきただけに、兄弟そろっての表彰台には「うれしいです」と素直に喜んだ。

 頂点を極め、目指すのは「完全王者のような」他の釣り人の目標となれるような釣り師。高い理想に向け、ここからがスタートだ。【高垣誠】

 ◆廣岡昭典(ひろおか・あきのり)1980年(昭55)7月7日、和歌山県生まれ。田辺市在住。自営業。アユ釣り歴26年。「龍水会」所属。ホーム河川は日高川。