山梨・精進湖のヘラブナ釣りは、底にどう魚を集めるかがカギだ。台風16号の影響で精進湖「湖畔荘」での「日刊スポーツ・フィッシング・サーキット」ヘラブナ予選会は、22日から24日に開催が変更された。道場では日刊釣りペン・クラブのヘラマンの関川康夫師範代が、底釣りと21尺の長ザオが初体験の門下生服部紫野(しの)さんを猛特訓した。

 精進湖をぐるんと見た師範代が、つぶやいた。

 師範代 水の中の藻(も)が育っているね。こんなに成長しているのも珍しいなぁ。

 現状はほぼ満水に近い。ただ、手を湖面に突っ込むと「いやぁ~、まだぬるいね」(師範代)。水温は取材した9月12日で23度台だった。この高い水温にダマされてはいけない。精進湖の湖面は標高900メートル。夜間になると急激に冷え込み、この初秋のころは、湖水温の急降下も考えられる。

 この日も、前日(11日)との温度差で、ヘラが落ち着かない。

 師範代 上ずってはしゃぐタイプと、底で落ち着くタイプに分かれるね。問題は、どっちで勝負するか。宙釣りは、9月12日ならば、まだ渡り合えるけれど、今後、湖水温の急激な冷え込みがある可能性は大いにある。そうすれば、大きいヘラは底に集まる。

 ただし、秋の空は気まぐれでいけない。暑さが抜けずに額の汗をぬぐう日が連続することもある。

 師範代 この1週間はスリリングだね。1日ごとにヘラの居場所が変わってもおかしくない。だから、狙いとしては底と宙と、どちらでも勝負できるように準備が必要ですね。

 両ダンゴにこだわることもなく、セット釣りの対応も必要だ。

 師範代 両ダンゴだけではなく、付けエサでグルテンを用意してセット釣りもできる柔軟性が求められますね。そのときの様子で選べる自分なりの「引き出し」は用意しておこう。

 底釣り初体験の服部さん、やや緊張。

 服部さん 宙釣りしかやったことがないから、イメージがまったく分かりません。どうしよう。

 まず師範代から、底取りを教わった。

 師範代 底釣りだからね。的確に底をとらなければいけない。底釣りとは、いかに底に魚をとどめておけるかです。

 エサは、ボソではいけない。底に到達するまでに持たせて、じんわりと魚を寄せる。

 師範代 すぐに反応があると思ってもいけない。ある程度、時間の投資をして、ヘラをため込んで、釣り続ける。どこまで我慢できるか。辛抱の釣りになる。

 大事なのは、投入だ。ほぼ同じ場所に仕掛けやウキを着水させる。服部さん、18~21尺の長いサオを使っていたので、最初はコントロールが定まらない。

 師範代 仕掛けを持つ左手を高く上げる。そうすれば、エサは水面を切ることがない。細かいことだけど、そういうことに注意していけば、安定した投入も実現します。

 開始から90分、服部さんのウキが動いた。合わせると大きくサオが曲がった。37センチ。まずまずだ。

 服部さん エサの大きさ、投入の着水ポイントや間隔も一定にしないとダメですね。ヘラを上ずらせずに底に集める、難しいですね。でも、楽しい。

 最終的に服部さんは21匹、師範代は43匹だった。底攻めを中心に組み立てながら、いざというときの宙釣りも視野に入れたい。

 ▼宙釣りのエサ 「凄麸(すごふ)」「ガッテン」がともに「2」に水「1・2」を混ぜて、やや軟らかめに。そのあとで「BBフラッシュ」を「1」ほど少しずつたして、手にまとわりつくぐらいに仕上げる。

 ▼底釣りのエサ 「底釣り夏」「底釣り冬」「ペレ底」をそれぞれ「1」ずつ混ぜて、水「1・5」で練ってから手でたたくようにして、しっとりさせる。

 ▼小さくつける あとは乾燥させないようにして、ハリに付けるときはなるべく小さめで。大きさの目安は宙なら「ギンナンの殻付き」、底なら「パチンコ玉」程度。

 ▼宿 精進湖「湖畔荘」【電話】0555・87・2003。予選会は24日に変更。開始時間や競釣エリアなど詳細は要確認。食堂もあって、朝定食700円のほか、ほうとう、ラーメン、カツ丼など各種あり。

 ヘラブナ決勝も精進湖で10月15日(土)に実施する。5地区予選の上位5人と昨年覇者の計26人で競う。