キスの総匹数を競う「第37回G杯争奪全日本がま投(キス)選手権」(主催・(株)がまかつ)が2、3日、徳島市の小松海岸で行われ、地区予選を勝ち抜いた30選手(シード選手含む)が参加した。雨が降り、強風も吹き付ける悪条件の中、決勝戦では6選手が90分間を戦い、早坂直人選手(福田海岸)が連掛けを連発、他を圧倒する71匹を釣り上げ初優勝を飾った。焦らず、じっくり丁寧な攻めが爆発的な釣果につながった。

 「ヨッシャーッ!」。思わず叫んでいた。最後の1投で7匹を掛け、早坂選手は勝利を確信した。G杯全国大会7度目の挑戦で初めて決勝戦に進み、そして一気に頂点を勝ち取った。

 決勝戦は、余裕さえ感じさせる圧勝劇だった。キスがいるのは6・2色から6・7色(約155~167メートル)あたりと見極め、7色ほど投げてじっくり、ゆっくりとラインを巻き取りながら攻めた。回収する際に急ぐと、小型のキスが多いためハリから外れてしまうのを避ける狙いがあった。エサ(石ゴカイ)付けも雑にならないよう丁寧にすることを意識した。

 その分、手返しが遅くなり投げる回数は少なくなる。だが予選(3回戦)でトップの計98匹を釣っており「(90分で)8回くらい投げられればいい」と割り切った。1投目で着水時に仕掛けがからみ2匹に終わったものの、魚の居場所をつかんだ。微妙にサビく位置をズラしながら誘い、2投目からは8、8、11、11、8、11、5、7匹と、9回投げて13本のハリに毎回キスを鈴なりにした。40匹を目標にスタートしたが、終わってみれば71匹。2位以下に大差をつけた初優勝に「思った通りの釣りが出来ました」と満足げな笑顔を見せた。

 釣りが大好きで、渓流もワカサギもルアーも経験した。家族で釣りに行くことも楽しんでいる。100本のハリを結ぶのが日課で、休日には天候にかかわらず海に出て投げるほどだ。「(優勝シードで)来年もう1度ここ(G杯キス)に来られるので、また表彰台に立てれば」。“釣りバカ”の夢は終わらない。【高垣誠】

 ◆早坂直人(はやさか・なおと)1972年(昭47)1月19日、北海道生まれ、44歳。静岡県富士市在住。会社員。投げ釣り歴10年。GFG東海、ファイティングサーフ所属。ホームグラウンドは静岡県東部の海岸。

 ◆経過 予選は10人ずつA~C組に分かれ3回戦(各90分)を行った。台風の影響か強風が吹き、選手には向かい風となって通常より飛距離が出ない厳しいコンディション。だが、午前6時からスタートすると、小型のキスが多いものの、連で釣りあげる選手が続出。合計98匹を釣った早坂選手や前回大会の優勝者・香川勇治選手(シード)ら各組上位2人の計6人が決勝戦に進出した。

 午後0時40分から90分間行われた決勝戦は、鈴木選手が着実に掛け、渡辺選手が5連、4連などで攻めるが、2投目から8連、11連など大釣りを連発した早坂選手が抜け出し、2位以下に大差をつけて初優勝を飾った。