東京湾のスミイカが相変わらず絶好調だ。10月からスタートしたスミイカ釣りだが、今年は数釣りが楽しめる。生きたシャコを使うテンヤ仕掛け、エビを模したエギ釣法など釣り人の好みにあった釣り方も選べちゃう。スミイカが乗ったときのググッ、と手元まで伝わってくる重量感は初心者やベテラン、関係なく味わえる。内房のアオリイカも今年は狙い目ですよぉ~!

 気をつけてもらいたいのはスミイカだけにスミだ。テンヤでもエギでも、釣れたら甲羅側の模様のある方を自分の方に、白い腹側を海に向ける。少なくとも、これでスミを浴びることはない。足が絡んだテンヤやエギを静かに外して、水の入っていないバケツに、やはり静かに置く。バケツに水を入れてしまうと、いつまでもスミを吐くので、空のバケツがいい。完璧なスミ退避の流れだ。

 こうなったら、あとは釣るだけ。エギとテンヤ、双方の釣り方を解説しよう。

▼テンヤ編

 鶴見「新明丸」では生きたシャコをテンヤに仕込んで、スミイカを釣り上げる。

 返しのない2本のハリの仕掛け「テンヤ」と、土台となる竹串を生きたシャコの尾から刺す。テンヤはオモリと直結しているので、サオを振り上げて「シャク」るアクションで誘って、スミイカを掛ける。海底にいるシャコが、泳いで浮かびあがるイメージだ。

 サオは胴の硬い先調子で、ヤリイカなどを釣るものでいい。長さは2・1~2・4メートルがいいだろう。テンヤのオモリは、今ならまだ水深15~20メートルの浅い場所なので、20号でいいだろう。ただし、今後、もっと深場を攻めるには、25号の用意も必要になってくる。

 シャクるアクションは、誘いと考えるのが妥当かもしれない。スミイカは、上から落ちてくるシャコの動きを底付近で観察している。よって、底にそのままに放置するだけでは、スミイカは振り向いてくれない。

 注意したいのはシャクりを入れて、再び着底して、次にシャクりを入れるときに、グンッ、とサオを持つ手に圧力を感じる。慌てずにそのままリールを巻き続けるのが大事だ。テンヤには返しがないため、ちょっとでも気と力を抜いてはいけないのだ。

▼エギ編

 道糸と結んだ中オモリ(細長い形状のオモリ)の下にハリスでエギをつなぐ。

 中オモリが着底したら、ハリス分を巻き上げて、スミイカのエギへの乗りを待つ。ハリスの長さは各地によって違う。川崎「つり幸」は1ヒロ(約1・5メートル)、八景「太田屋」は2・5~3メートル、新安浦「長谷川丸」は1メートル~1ヒロ。これは狙う沖の底の形状などによって変わってくる。各船長によく聞いた方がいいだろう。

 中オモリは10号が基本。潮の流れによって、12号や15号などもあると便利であろう。サオは、テンヤほどガッチリしている必要はなく、シロギス用の1・8メートルで十分通用する。

 エギもテンヤと同じように、シャクりは誘いになる。極端な話をすれば、15秒に1回のペースでシャクりを入れて、シャクり3回で、底を取り直す。海底は真っ平らではなく、起伏があるので、コマメな底取りがどれだけ釣れるか、の課題になるだろう。

 「太田屋」でアニキこと哀川翔(55)がエギのスミイカに挑戦した。ヤマリアの協力も得て、2・5号と3号のエギで3匹をゲットした。「ヤリイカとはまったく違う魅力だね。定期的にシャクることで、スミイカにエギをアピールできるのか」と話して「深いね」とポツリ。そして、アニキとNHK大河ドラマ「真田丸」で豊臣側の若き武将、木村重成役で共演した白石隼也(26)も乗船し、スミイカ2匹とアオリイカ1匹をキャッチした。アニキからは「おう、白石、イカ王子だな」との言葉をもらった。「釣りは初めてですが、スミイカは波長が合うみたい。もうちょい釣りたかったですね」と声をはずませた。