マダイを釣ってみたい-釣り人ならみんなが持つ夢だろう。かなえてみせましょう。千葉・南房の伊戸「九左衛門」(池田豊船長)では、海面から30~40メートルで釣れちゃうからビギナーさんでも安心だ。今夏から好釣をキープしているが、本格的な秋ダイは真冬の今ごろ目覚めてきている。「いつかはマダイ」。行くなら今ですよぉ~!

 今、マダイが調子いい。駿河湾も南伊豆も相模湾、三浦半島、東京湾、外房、茨城…これだけ広範囲に釣れている魚種も珍しいだろう。来年3月には東京湾と駿河湾で日刊スポーツ主催の恒例の「マダイダービー」もスタートする。

 でも、ダービーまで待ち切れないでしょ? マダイ、釣りたいでしょ?

 千葉県の最南端の伊戸(館山市)まで足をのばしてみませんか? 絵に描いたような青い海と空。港の海水の透明度に感動してください。「ああ、関東にもまだ、こういう風景と海があるんだなぁ」と感じていただけると思います。

 しかも、東京湾と違って、海から昇る朝日を船上から見ることもできちゃいます。釣りの楽しみは魚を釣ることが最大のミッションですが、朝イチの出船なら、水平線から顔を出す太陽を目の前で見られることぐらい、幸せな瞬間はありません。ぜひぜひ、じっくり鑑賞してみてください。

 さて、本題のマダイ釣りだ。今夏から観光地の灯台でも知られる洲崎(すのさき)沖で、コマセ使用が解禁となった。池田船長は「今まで、かたくなにコマセを打たなかったエリアですね。マダイもコマセ慣れしていないのか、すぐ反応として出てきた。もう、魚探(魚群探知機)はマダイの反応でまっ赤ですよ。今はマダイ釣りのチャンスだと思います」と話す。普段は物静かな船長だ。釣れないときは「来ない方がいいよ」と言うぐらいの正直さなので、これは貴重な情報といえそう。

 そりゃ、行きますよ。3日に急きょ予定を変更して行ってきた。実釣リポートの前に、ここで仕掛けの説明。マダイ釣りほど仕掛けがシンプルなものもない。コマセを使うので、60号のコマセカゴに片天ビンを装着して道糸とつなげる。道糸は、片天ビンの短い方ですからね。で、長い方には50センチ~1メートルのクッションゴム(直径2ミリ)をつけて、その先にハリス(3~4号)8メートル、ハリはマダイ9号を結ぶ。これでいい。

 つまり、市販のマダイ仕掛けを購入しなくても、糸の結び方さえ知っていれば、船上ですぐできちゃう。糸の結び方が分からない人は、船に乗る前に池田船長に教わってね。

 「そうは言っても釣り方は難しいんでしょ?」

 取材当日、釣りを開始して第1投。タコボウズ記者の隣のサオがギューーーン、と曲がった。えっ、いきなり本命(マダイ)ですか? 船長の指定したタナ(魚の回遊層)は海面から40メートルだった。

 リールに巻いている道糸は10メートルごとに色分けされている。4つの色を落とした場所がタナだ。ただし、指定されたタナから5メートルほど深いところまで下げてサオをゆっくり上下動させながら40メートルに合わせる。そうすることによって、オキアミをつけたハリの周囲にコマセが振りまかれる。マダイをおびき寄せて、ハリにガブリとさせられるのだ。

 隣のサオを曲げたのは、やはりマダイだった。重量は約1・5キロ。上々のスタートだ。船中では500~800グラムのマダイがポツポツ、イサキがガツン。タコボウズ記者も400グラムは釣ったが、あまりに魚体がピンクできれいだったので「大きくなって帰ってこい」とすぐリリース。マダイの数釣りは今後も期待できそう。夢のマダイに南房に会いに来い!【寺沢卓】

 ▼宿 伊戸「九左衛門」【電話】0470・29・0559。マダイの乗合は午前5時30分集合、同6時ごろ出船。マダイだけではなくカンパチも釣れている。コマセ、氷付きで1万円。つけエサは別売り500円あり。新年1月4日からはヒラメなど根魚船も仕立てで4人4万円(イワシ代別)から。12月の定休日は14日と28日。要予約。