投げ釣りに行くなら、師走のこの時期、最高なんです。千葉県房総半島には数多くの砂浜が点在している。ただ、この時期は風が強くて、釣りになりゃしない。だからこそ、千葉県。房総半島なら、どんな風にも対応できちゃう。10、11日の週末で南房総市の太平洋側・塩浦海岸と東京湾側・豊岡海岸の2カ所を釣り歩いてきた。

 広がる青い空。遠くに目をやれば、海との境が判別しにくい。すべてが青であふれている。関東最南端の南房総市白浜町。その一角にコンパクトにまとまった砂浜がある。塩浦海岸。無料駐車場からおしゃれなウッドデッキが広がり、砂浜までの自然な動線となっている。釣りをする前から気持ちいい。

 10日、東京湾側では10メートルの強い西風が吹き荒れていて、釣りにならなかった。釣り場を探してさまよい、行き着いたのが塩浦海岸だった。ほぼ無風。千葉にはどんな風でも必ず、裏になる場所がある。

 ただ、この塩浦海岸は、電車では来られない。JR館山駅から車で約40分。交通手段は車以外にない。だからこそ、ひっそりと静かに投げ釣りに集中できる。いい釣り場だ。

 さっそく投げてみる。引っ掛かる根はほとんどない。シロギスも掛かるようだが、この日はクサフグしかヒットしない。大小よりどりみどり、食べられないが、それでも楽しい。

 砂浜での投げ釣りはよほどのことがない限り、釣り禁止ということはない。しかも、地面が動かないので船酔いもない。いつ始めて、いつ終わってもいい。自分のペースで釣りができる。なにしろ初期投資が、どこの釣具店に行ってもサオとリールと道糸のセットで3000円で購入可能で、エサと仕掛けを含めても4000円以内でできてしまう。ビギナーにはもってこいの釣りといえよう。

 結局、塩浦海岸では、クサフグ以外の顔を見ることができなかった。しかし、それも投げ釣りだ。砂地の底なので、シロギスやヒラメもタイミングで釣れるだろう。ここはまたチャレンジしてみよう。

 翌11日、強風は変わらない。そこで、同じ南房総市の東京湾に面した豊岡海岸に足を向けた。風はない。波も立っていない。ベタナギに近い。投げ釣りができそうだ。仲間14人でサオを出した。初挑戦もいたが、何度か投げると、真っすぐ飛び、さらに飛距離も次第に伸びていった。魚を釣る喜びもあるが、思い通りに仕掛けを遠くに飛ばす快感は、日常生活ではなかなか味わえるものではない。

 釣りは絶好調だった。シロギスを筆頭にメゴチ、ヒラメが釣れた。エサはジャリメやアオイソメ。やや気持ち悪いかもしれないが「エサだから」と割り切ってしまえば、女の子でもひょいひょいとハリに掛けられるようになる。

 千葉には釣具店が海に面した国道127号、同128号沿いにはたくさんある。「どこで釣れてますか?」とたずねて現地で情報を仕入れるといいだろう。誰もいない砂浜を独占してみないか? 千葉の砂浜は楽しいぞ!【寺沢卓】

 ▼問い合わせ 車が便利だろう。神奈川・久里浜と千葉・金谷をつなぐ東京湾フェリーを利用するなら、金谷「岡澤釣具店」【電話】0439・69・2232。富津館山道路で一気に終着の富浦ICまで行くなら、同ICから館山方向に1分の館山「マリンスポット釣吉」【電話】0470・33・2880。